原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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爾其孃子。 | ここにその孃子、 | その孃子は、 |
常設種種之 珍味。 |
常に種種の 珍ためつ味ものを設けて、 |
常に種々の 珍味を作つて、 |
恒食其夫。 | 恆にその夫ひこぢに食はしめき。 | いつもその夫に進めました。 |
故其國主之子。 | かれその國主こにきしの子心奢りて、 | しかるにその國王の子が心奢おごりして |
心奢詈妻。 | 妻めを詈のりしかば、 | 妻を詈ののしりましたから、 |
其女人言。 | その女人の言はく、 | その女が |
凡吾者。 | 「およそ吾は、 | 「大體わたくしは |
非應爲汝妻之女。 | 汝いましの妻めになるべき女にあらず。 | あなたの妻になるべき女ではございません。 |
將行吾祖之國。 | 吾が祖みおやの國に行かむ」といひて、 | 母上のいる國に行きましよう」と言つて、 |
即竊乘小船。 | すなはち竊しのびて小を船に乘りて、 | 竊に小船に乘つて |
逃遁渡來。 | 逃れ渡り來て、 | 逃げ渡つて來て |
留于難波。 | 難波に留まりぬ。 | 難波に留まりました。 |
〈此者坐 難波之 比賣碁曾社。 謂阿加流比賣神者也〉 |
(こは難波の 比賣碁曾の社にます 阿加流比賣といふ神なり) |
これは難波の ヒメゴソの社においでになる アカル姫という神です。 |