原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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爾御歌曰。 | ここに御歌よみしたまひしく、 | そこで天皇のお詠み遊ばされた歌は、 |
伊邪古杼母 怒毘流都美邇 | いざ子ども 野蒜のびる摘みに、 | さあお前まえたち、野蒜のびる摘つみに |
比流都美邇 和賀由久美知能 | 蒜ひる摘みに わが行く道の | 蒜ひる摘つみにわたしの行く道の |
迦具波斯 波那多知婆那波 | 香ぐはし 花橘はなたちばなは、 | 香こうばしい花橘はなたちばなの樹、 |
本都延波 登理韋賀良斯 | 上枝ほつえは 鳥居枯がらし、 | 上の枝は鳥がいて枯らし |
志豆延波 比登登理賀良斯 | 下枝しづえは 人取り枯がらし、 | 下の枝は人が取つて枯らし、 |
美都具理能 那迦都延能 | 三栗の 中つ枝の | 三栗みつぐりのような眞中まんなかの枝の |
本都毛理 阿加良袁登賣袁 | ほつもり 赤ら孃子を、 | 目立つて見える紅顏のお孃さんを |
伊邪佐佐婆 余良斯那 | いざささば 好よらしな。 | さあ手に入れたら宜いでしよう。 |