原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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つるぎ冬木サヤサヤの歌 |
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又吉野之國主等。 | また、吉野えしのの國主くずども、 | また、吉野のクズどもが |
瞻大雀命之 所佩御刀。 |
大雀の命の 佩はかせる御刀を見て、 |
オホサザキの命の 佩おびておいでになるお刀を見て |
歌曰。 | 歌ひて曰ひしく、 | 歌いました歌は、 |
本牟多能 | 品陀ほむだの | 天子樣の |
比能美古 | 日の御子、 | 日の御子である |
意富佐邪岐 | 大雀おほさざき | オホサザキ樣、 |
意富佐邪岐 | 大雀。 | オホサザキ樣の |
波加勢流多知 | 佩かせる大刀、 | お佩はきになつている大刀は、 |
母登都流藝 | 本劍もとつるぎ | 本は鋭く、 |
須惠布由 | 末すゑふゆ。 | 切先きつさきは魂あり、 |
布由紀能 | 冬木の | 冬木の |
須加良賀志多紀能 | すからが下した木の | すがれの下の木のように |
佐夜佐夜 | さやさや。 | さやさやと鳴り渡る。 |
口鼓の歌 |
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又於 吉野之白檮上。 |
また、 吉野の白檮かしの生ふに |
また吉野のカシの木の |
作横臼而。 | 横臼よくすを作りて、 | ほとりに臼を作つて、 |
於其横臼。 | その横臼に | その臼で |
釀大御酒。 | 大御酒おほみきを釀かみて、 | お酒を造つて、 |
獻其大御酒之時。 | その大御酒を獻る時に、 | その酒を獻つた時に、 |
撃口鼓 爲伎而 歌曰。 |
口鼓くちつづみを撃ち、 伎わざをなして、 歌ひて曰ひしく、 |
口鼓を撃ち 演技をして 歌つた歌、 |
加志能布邇 | 白檮かしの生ふに | カシの木の原に |
余久須袁都久理 | 横臼よくすを作り、 | 横の廣い臼を作り |
余久須邇 | 横臼に | その臼に |
迦美斯意富美岐 | 釀かみし大御酒、 | 釀かもしたお酒、 |
宇麻良爾 | うまらに | おいしそうに |
岐許志母知袁勢 | 聞こしもちをせ。 | 召し上がりませ、 |
麻呂賀知 | まろが父ち。 | わたしの父とうさん。 |
此歌者。 | この歌は、 | この歌は、 |
國主等。 | 國主くずども | クズどもが |
獻大贄之時時。 | 大贄にへ獻る時時、 | 土地の産物を獻る時に、 |
恒至于今。 | 恆に今に至るまで | 常に今でも |
詠之歌者也。 | 歌ふ歌なり。 | 歌う歌であります。 |