原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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渡到河中之時。 | 渡りて河中に到りし時に、 | さて、渡つて河中に到りました時に、 |
令傾其船。 | その船を傾かたぶけしめて、 | その船を傾けさせて |
墮入水中。 | 水の中に墮し入れき。 | 水の中に落し入れました。 |
爾乃浮出。 | ここに浮き出でて、 | そこで浮き出て |
隨水流下。 | 水のまにまに流れ下りき。 | 水のまにまに流れ下りました。 |
即流歌曰。 | すなはち流れつつ歌よみしたまひしく、 | 流れながら歌いました歌は、 |
知波夜夫流 | ちはやぶる | 流れの早い |
宇遲能和多理邇 | 宇治の渡に、 | 宇治川の渡場に |
佐袁斗理邇 | 棹取りに | 棹を取るに |
波夜祁牟比登斯 | 速はやけむ人し | 早い人は |
和賀毛古邇許牟 | わが伴もこに來こむ。 | わたしのなかまに來てくれ。 |
と歌ひき。 |