原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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於是其忍熊王 | ここにその忍熊の王、 | そこでそのオシクマの王が |
與伊佐比宿禰。 | 伊佐比いさひの宿禰と | イサヒの宿禰と |
共被追迫。 | 共に追ひ迫めらえて、 | 共に追い迫せめられて、 |
乘船浮海 歌曰。 |
船に乘り、海に浮きて、 歌よみして曰ひしく、 |
湖上に浮んで 歌いました歌、 |
伊奢阿藝 | いざ吾君あぎ、 | さあ君きみよ、 |
布流玖麻賀 | 振熊ふるくまが | フルクマのために |
伊多弖淤波受波 | 痛手負はずは | 負傷ふしようするよりは、 |
邇本杼理能 | 鳰鳥にほどりの | カイツブリのいる |
阿布美能宇美邇 | 淡海の海に | 琵琶の湖水に |
迦豆岐勢那和 | 潛かづきせなわ。 | 潛り入ろうものを。 |
即入海 共死也。 |
と歌ひて、 すなはち海に入りて共に死しにき。 |
と歌つて 海にはいつて死にました。 |