原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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故建内宿禰命。 | かれ建内の宿禰の命、 | かくてタケシウチの宿禰が |
率其太子。 | その太子ひつぎのみこを率ゐまつりて、 | その太子をおつれ申し上げて |
爲將禊而。 | 御禊みそぎせむとして、 | 禊みそぎをしようとして |
經歴 淡海及 若狹國之時。 |
淡海また 若狹の國を 經歴めぐりたまふ時に、 |
近江また 若狹わかさの國を 經た時に、 |
於高志前之 角鹿。 |
高志こしの前みちのくちの 角鹿つぬがに、 |
越前の 敦賀つるがに |
造假宮而坐。 | 假宮を造りてませまつりき。 | 假宮を造つてお住ませ申し上げました。 |
爾坐其地。 | ここに其地そこにます | その時にその土地においでになる |
伊奢沙和氣大神之命。 | 伊奢沙和氣いざさわけの大神の命、 | イザサワケの大神が夜の夢にあらわれて、 |
見於夜夢。 | 夜の夢いめに見えて、 | |
云。 以吾名。 欲易御子之御名。 |
「吾が名を 御子の御名に易へまくほし」 とのりたまひき。 |
「わたしの名を 御子の名と取りかえたいと思う」 と仰せられました。 |
爾言祷。 白之。 |
ここに言祷ことほぎて 白さく、 |
そこで |
恐隨命 易奉。 |
「恐し、命のまにまに、 易へまつらむ」 とまをす。 |
「それは恐れ多いことですから、 仰せの通りおかえ致しましよう」 と申しました。 |