| 原文 |
書き下し （武田祐吉） |
現代語訳 （武田祐吉） |
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| 於是天皇。 | ここに天皇、 | ここに天皇は、 |
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聞看定 三野國造之祖。 神大根王之女。 名 兄比賣。 弟比賣二孃子。 其容姿麗美而。 |
三野みのの國の造の祖、 大根おほねの王八が女、 名は 兄比賣えひめ 弟比賣おとひめ二孃子ふたをとめ、 それ容姿麗美かほよしと きこしめし定めて、 |
三野の國の造の祖先の オホネの王の女の 兄姫えひめ 弟姫おとひめの 二人の孃子が美しいということを お聞きになつて、 |
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遣其御子 大碓命以喚上。 |
その御子 大碓おほうすの命を遣して、 喚めし上げたまひき。 |
その御子の オホウスの命を遣わして、 お召しになりました。 |
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故其所遣 大碓命。 |
かれその遣さえたる 大碓の命、 |
しかるにその遣わされた オホウスの命が |
| 勿召上而。 | 召し上げずて、 | 召しあげないで、 |
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即己自 婚其孃子。 |
すなはちおのれみづから その二孃子に婚ひて、 |
自分が その二人の孃子と結婚して、 |
| 更求他女人。 | 更に他あだし女をみなを求まぎて、 | 更に別の女を求めて、 |
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詐名其孃女 而貢上。 |
その孃子と詐り名づけて 貢上たてまつりき。 |
その孃子だと僞つて 獻りました。 |
| 於是天皇。 | ここに天皇 | そこで天皇は、 |
| 知其他嬢。 |
それ他あだし女を みななることを知らしめして、 |
それが別の女であることを お知りになつて、 |
| 恒令經長眼。 | 恆に長眼を經しめ、 | いつも見守らせるだけで、 |
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亦勿婚 而惚也。 |
また婚あひもせずて、 惚たしなめたまひき。 |
結婚をしないで 苦しめられました。 |
大碓＝兄＝兄姫 |
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| 故其大碓命。 | かれその大碓おほうすの命、 | それでそのオホウスの命が |
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娶 兄比賣。生子。 押黒之兄日子王。 |
兄比賣えひめに娶ひて 生みませる子、 押黒おしくろの兄日子の王。 |
兄姫と結婚して 生んだ子が オシクロのエ彦の王で、 |
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〈此者。三野之 宇泥須和氣之祖〉 |
こは三野の 宇泥須和氣が祖なり。 |
これは三野の 宇泥須うねすの別の祖先です。 |
大碓→弟姫（死亡フラグ。倭建の妻＝弟橘） |
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亦娶 弟比賣。生子。 押黒弟日子王。 |
また弟比賣に娶ひて 生みませる子、 押黒の弟日子の王。 |
また弟姫と結婚して 生んだ子は、 オシクロのオト彦の王で、 |
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〈此者。 牟宜都君等之祖〉 |
こは 牟宜都の君等が祖なり。 |
これは 牟宜都むげつの君等の祖先です。 |
| 此之御世。 | この御世に | この御世に |
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定 田部。 |
田部たべを定め、 |
田部を お定めになり、 |
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又定 東之淡水門。 |
また東あづまの 淡あはの水門みなとを定め、 |
また東國の 安房の水門みなとをお定めになり、 |
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又定 膳之大伴部。 |
また膳かしはでの 大伴部おほともべを定め、 |
また膳かしわでの 大伴部をお定めになり、 |
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又定 倭屯家。 |
また倭やまとの 屯家みやけを定めたまひ、 |
また大和の 役所をお定めになり、 |
| 又作坂手池。 | また坂手さかての池を作りて、 | また坂手の池を作つて |
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即竹植 其堤也。 |
すなはちその堤に 竹を植ゑしめたまひき。 |
その堤に 竹を植えさせなさいました。 |