原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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蛇と一宿(ヘビというても人やど!) |
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爾其御子。 | ここにその御子、 | そこでその御子が |
一宿婚 肥長比賣。 |
肥長ひなが比賣に 一宿ひとよ婚ひたまひき。 |
一夜ヒナガ姫と 結婚なさいました。 |
故竊伺 其美人者。 蛇也。 |
かれその美人をとめを 竊伺かきまみたまへば、 蛇をろちなり。 |
その時に孃子を 伺のぞいて御覽になると 大蛇でした。 |
即見畏遁逃。 |
すなはち見畏みて 遁げたまひき。 |
そこで見て畏れて 遁げました。 |
爾其肥長比賣 患光海原。 自船追來。 |
ここにその肥長ひなが比賣 患うれへて、 海原を光てらして 船より追ひ來く。 |
ここにそのヒナガ姫は 心憂く思つて、 海上を光らして 船に乘つて追つて來るので |
故益。 見畏以。 |
かれ、ますます見畏みて | いよいよ畏れられて、 |
自山多和。 〈此二字以音〉 |
山のたわより | 山の峠とうげから |
引越御船。 | 御船を引き越して、 | 御船を引き越させて |
逃上行也。 | 逃げ上りいでましつ。 | 逃げて上つておいでになりました。 |
ここで姫が物理的に蛇になっていたのではなく、古事記でその類は謎掛け。序の記述からしても、そこまで幼い読者レベルを想定してない。
蛇を八俣大蛇と掛かるホムチ両親の「八鹽折之紐小刀」と掛け、くだを巻くと解く、その心は泥酔して絡んでくる女。だから一宿で終わった。美人なのに?
八鹽折(やしおり=バッカス)は、八俣大蛇すら泥酔させた大容量の樽のことである。樽は人(女性)の形容にも用いられる。それで「肥長比賣」。
つまりリトルなぽちゃ(ムチムチ)ではなく曙みたいな美人だった。ホムチは設定上、痴呆から覚醒したばかりで当然女には無知である。
なおグラマーな(出るとこ出てる)体は、わがままボディというらしい。それを解くと、わが意のままにしたい体。その心はそそるものだから。
素敵でわがままに感じるというのはおかしくないか。その緩い感じから、生活習慣がわがまま(明らかに食べ過ぎ)っぽそうとかならわからなくもない。