原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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亦天皇。 | また天皇、 | また天皇が |
命詔其后。 | その后に命詔みことのりしたまはく、 | その皇后に仰せられるには、 |
言凡子名。 | 「およそ子の名は、 | 「すべて子この名は |
必母名。 | かならず母の名づくるを、 | 母が附けるものであるが、 |
何稱 是子之御名。 |
この子の御名を、 何とかいはむ」 と詔りたまひき。 |
この御子の名前を 何としたらよかろうか」 と仰せられました。 |
爾答白。 | ここに答へて白さく、 | そこでお答え申し上げるには、 |
今當火燒 稻城之時而。 火中所生。 |
「今火の 稻城いなぎを燒く時に、 火ほ中に生あれましつ。 |
「今稻の城を燒く時に 炎の中でお生まれになりましたから、 |
故其御名 宜稱 本牟智和氣 御子。 |
かれその御名は、 本牟智和氣 ほむちわけの御子みこ とまをすべし」 とまをしたまひき。 |
その御子のお名前は ホムチワケの御子と お附け申しましよう」 と申しました。 |