原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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二俣=二股と掛け |
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故率遊 其御子之 状者。 |
かれその御子を 率ゐて 遊ぶ状さまは、 |
かくてその御子を お連れ申し上げて 遊ぶ有樣は、 |
在於 尾張之相津。 |
尾張の相津なる | 尾張の相津にあつた |
二俣榲。 | 二俣榲ふたまたすぎを | 二俣ふたまたの杉をもつて |
作 二俣小舟而。 |
二俣小舟ふたまたをぶねに 作りて、 |
二俣の小舟を 作つて、 |
持上來以。 | 持ち上り來て、 | 持ち上つて來て、 |
浮 倭之市師池。 輕池。 |
倭やまとの 市師いちしの池 輕かるの池に浮けて、 |
大和の 市師いちしの池、 輕かるの池に浮べて |
率遊其御子。 | その御子を率ゐて遊びき。 | 遊びました。 |
あぎ(アレと解く、その心は言えません) |
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然是御子 | 然るにこの御子、 | この御子は、 |
八拳鬚 至于心前。 |
八拳鬚心前 つかひげ むなさきに至るまでに |
長い鬢が 胸の前に至るまでも |
眞事登波受。 〈此三字以音〉 |
ま言こととはず。 | 物をしかと仰せられません。 |
故今 聞高往 鵠之音。 |
かれ今、 高往く 鵠たづが音を聞かして、 |
ただ大空を 鶴が鳴き渡つたのを お聞きになつて |
始爲 阿藝登比。 〈自阿下 四字以音〉 |
始めて あぎとひ たまひき。 |
始めて 「あぎ」と 言われました。 |