原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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爾遣 山邊之 大鶙。 〈此者人名〉 |
ここに 山邊やまべの 大鶙おほたか (こは人の名なり)を遣して、 |
そこで 山邊やまべの オホタカという人を 遣つて、 |
令取其鳥。 | その鳥を取らしめき。 | その鳥を取らせました。 |
因幡回り |
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故是人 追尋其鵠。 |
かれこの人、 その鵠を追ひ尋ねて、 |
ここにその人が 鳥を追い尋ねて |
自木國 到針間國。 |
木きの國より 針間はりまの國に到り、 |
紀の國から 播磨の國に至り、 |
亦追越 稻羽國。 |
また追ひて 稻羽いなばの國に越え、 |
追つて 因幡いなばの國に越えて行き、 |
即到 旦波國。 多遲麻國。 |
すなはち 旦波たにはの國 多遲麻たぢまの國に到り、 |
丹波の國・ 但馬の國に行き、 |
追廻東方。 | 東の方に追ひ廻りて、 | 東の方に追い廻つて |
到近淡海國。 | 近ちかつ淡海あふみの國に到り、 | 近江の國に至り、 |
乃越三野國。 | 三野みのの國に越え、 | 美濃の國に越え、 |
自尾張國傳以。 | 尾張をはりの國より傳ひて | 尾張の國から傳わつて |
追科野國。 | 科野しなのの國に追ひ、 | 信濃の國に追い、 |
鳥を取り回帰 |
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遂追到 高志國而。 |
遂に 高志こしの國に追ひ到りて、 |
遂に 越こしの國に行つて、 |
於和那美之 水門張網。 |
和那美わなみの 水門みなとに網を張り、 |
ワナミの水門みなとで 罠わなを張つて |
取其鳥而。 | その鳥を取りて、 | その鳥を取つて |
持上獻。 | 持ち上りて獻りき。 | 持つて來て獻りました。 |
和那美之水門=罠網×(稲羽+丹波)=若狭湾 |
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故號其水門。 | かれその水門に名づけて | そこでその水門みなとを |
謂和那美之 水門也。 |
和那美わなみの 水門みなとといふなり。 |
ワナミの 水門とはいうのです。 |