原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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赤い麻糸 |
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是以其父母。 | ここを以ちてその父母、 | そこでその父母が、 |
欲知其人。 | その人を知らむと欲おもひて、 | その人を知りたいと思つて、 |
誨 其女曰。 |
その女に 誨をしへつらくは、 |
その女に 教えましたのは、 |
以赤土 散床前。 |
「赤土はにを 床の邊に散らし、 |
「赤土を 床のほとりに散らし |
以閇蘇 〈此二字以音〉 紡麻貫針。 |
卷子紡麻 へそをを 針に貫ぬきて、 |
麻絲を 針に貫いてその |
刺其衣襴。 |
その衣の襴すそに刺せ」 と誨をしへき。 |
着物きものの裾に刺せ」 と教えました。 |
御諸山(三輪山)の神=大物主大神=少名毘古那神? |
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故如教而。 | かれ教へしが如して、 | 依つて教えた通りにして、 |
旦時見者。 | 旦時あしたに見れば、 | 朝になつて見れば、 |
所著針麻者。 | 針をつけたる麻をは、 | 針をつけた麻は |
自戸之鉤穴 控通而出。 |
戸の鉤穴かぎあなより 控ひき通りて出で、 |
戸の鉤穴かぎあなから 貫け通つて、 |
唯遺麻者。 | ただ遺のこれる麻をは、 | 殘つた麻は |
三勾耳。 | 三勾みわのみなりき。 | ただ三輪だけでした。 |
爾即知 自鉤穴出之状而。 |
ここにすなはち 鉤穴より出でし状を知りて、 |
そこで 鉤穴から出たことを知つて |
從糸尋行者。 | 絲のまにまに尋ね行きしかば、 | 絲をたよりに尋ねて行きましたら、 |
至美和山而。 | 美和山に至りて、 | 三輪山に行つて |
留神社。 | 神の社に留まりき。 | 神の社に留まりました。 |
意富多多泥古=活玉×少名毘古那? |
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故知 其神子。 |
かれその神の御子なり とは知りぬ。 |
そこで神の御子である とは知つたのです。 |
三勾=美和? |
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故因其麻之 三勾遺而。 |
かれその麻をの 三勾みわ遺のこれるによりて、 |
その麻の 三輪殘つたのによつて |
名其地謂 美和也。 |
其地そこに名づけて 美和みわといふなり。 |
其處を三輪と言うのです。 |
〈此意 富多多泥古命者。 |
この 意富多多泥古の命は、 |
この オホタタネコの命は、 |
神君。 | 神みわの君、 | 神みわの君・ |
鴨君之祖〉 | 鴨の君が祖なり。 | 鴨の君の祖先です。 |