原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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七乙女(オトメ)ヲメトろう |
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於是七媛女。 | ここに七媛女をとめ、 | ある時七人の孃子が |
遊行於 高佐士野。 〈佐士二字以音〉 |
高佐士野 たかさじのに遊べるに、 |
大和の タカサジ野で遊んでいる時に、 |
伊須氣余理比賣 在其中。 |
伊須氣余理比賣 いすけよりひめその中にありき。 |
このイスケヨリ姫も 混まじつていました。 |
爾大久米命。 | ここに大久米の命、 | そこでオホクメの命が、 |
見其伊須氣余理比賣而。 | その伊須氣余理比賣を見て、 | そのイスケヨリ姫を見て、 |
以歌白於天皇曰。 | 歌もちて天皇にまをさく、 | 歌で天皇に申し上げるには、 |
夜麻登能 | 倭やまとの | 大和の國の |
多加佐士怒袁 | 高佐士野を | タカサジ野のを |
那那由久 | 七なな行く | 七人行く |
袁登賣杼母 | 媛女をとめども、 | 孃子おとめたち、 |
多禮袁志摩加牟 | 誰をしまかむ。 | その中の誰をお召しになります。 |
爾 伊須氣 余理比賣者。 |
ここに 伊須氣 余理比賣は、 |
この イスケヨリ姫は、 |
立其媛女等 之前。 |
その媛女どもの 前さきに立てり。 |
その時に孃子たちの 前さきに立つておりました。 |
乃天皇見 其媛女等而。 |
すなはち天皇、 その媛女どもを見て、 |
天皇は その孃子たちを御覽になつて、 |
御心知 伊須氣余理比賣 立於最前。 |
御心に 伊須氣余理比賣の 最前いやさきに立てることを知らして、 |
御心に イスケヨリ姫が 一番前さきに立つていることを知られて、 |
以歌答曰。 | 歌もちて答へたまひしく、 | お歌でお答えになりますには、 |
加都賀都母 | かつがつも | まあまあ |
伊夜佐岐陀弖流 | いや先立てる | 一番先に立つている娘こを |
延袁斯麻加牟 | 愛えをしまかむ。 | 妻にしましようよ。 |
黥(ゲイ=刑。利目・トメの入墨) |
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爾大久米命。 | ここに大久米の命、 | ここにオホクメの命が、 |
以天皇之命。 | 天皇の命を、 | 天皇の仰せを |
詔其 伊須氣余理比賣之時。 |
その伊須氣余理比賣に 詔のる時に、 |
そのイスケヨリ姫に傳えました時に、 |
見其大久米命 黥 利目而。 |
その大久米の命の 黥さける 利目とめを見て、 |
姫はオホクメの命の 眼の裂目さけめに 黥いれずみをしているのを見て |
思奇歌曰。 |
奇あやしと思ひて、 歌ひたまひしく、 |
不思議に思つて、 |
阿米都都 | 天地あめつつ | 天地間てんちかんの |
知杼理麻斯登登 | ちどりましとと |
千人にん勝まさりの 勇士ゆうしだというに、 |
那杼佐祁流斗米 | など黥さける利目とめ。 |
どうして目めに 黥いれずみをしているのです。 |
と歌いましたから、 | ||
爾大久米命 答歌曰。 |
ここに大久米の命、 答へ歌ひて曰ひしく、 |
オホクメの命が答えて歌うには、 |
袁登賣爾 | 媛女に | お孃さんに |
多陀爾阿波牟登 | 直ただに逢はむと | すぐに逢おうと思つて |
和加佐祁流斗米 | 吾わが黥ける利目とめ | 目に黥いれずみをしております。 |
と歌いました。 | ||
故其孃子。 | かれその孃子をとめ、 | かくてその孃子は |
白之仕奉也。 | 「仕へまつらむ」とまをしき。 | 「お仕え申しあげましよう」と申しました。 |
続く文脈から入墨は忌人のしるし。普遍の法の禁を犯した象徴のmark(karma)。
法度(hatto)=tattoo=taboo。tabacoはその亜種。だから煙たがられる。では煙がないといいのか。タバコの魅力は愛煙者じゃないと多分わからない。
カルマは印度を中心とした東西共通の霊的概念で仏教語ではない。何でもかんでも仏教用語、専売特許(独り占め)のタバ…タブーの因縁。