古事記 金鉏岡の歌~原文対訳

一言主大神 古事記
下巻⑥
21代 雄略天皇
金鉏岡の歌
天語歌①
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

金でスキにする歌

     
又天皇。  また天皇、  また天皇、

丸邇之
佐都紀臣之女。
袁杼比賣。
丸邇わにの
佐都紀さつきの臣が女、
袁杼をど比賣を
婚よばひに、
丸邇わにの
サツキの臣の女の
ヲド姫と
結婚をしに
幸行于
春日之時。
春日に
いでましし時、
春日に
おいでになりました時に、
媛女逢道。 媛女をとめ、道に逢ひて、 その孃子が道で逢つて、
即見幸行而。 すなはち幸行いでましを見て、 おでましを見て
逃隱岡邊。 岡邊をかびに逃げ隱りき。 岡邊に逃げ隱れました。
     
故作御歌。 かれ御歌よみしたまへる、 そこで歌をお詠みになりました。
其歌曰。 その御歌、 その御歌は、
     
袁登賣能 孃子をとめの お孃さんの
伊加久流袁加袁 い隱かくる岡を 隱れる岡を
加那須岐母 金鉏かなすきも じようぶな鉏すきが
伊本知母賀母 五百箇いほちもがも。 澤山あつたらよいなあ、
須岐波奴流母能 鉏すき撥はぬるもの。 鋤すき撥はらつてしまうものを。
     
故號其岡。  かれその岡に名づけて、  そこでその岡を
謂金鉏岡也。 金鉏かなすきの岡といふ。 金鉏かなすきの岡と名づけました。
一言主大神 古事記
下巻⑥
21代 雄略天皇
金鉏岡の歌
天語歌①