原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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爾大后歌。 | ここに大后の歌よみしたまへる、 | そこで皇后樣のお歌いになりました |
其歌曰。 | その御歌、 | 御歌は、 |
夜麻登能 許能多氣知爾 | 倭やまとの この高市たけちに | 大和の國の この高町で |
古陀加流 伊知能都加佐 | 小高こだかる 市いちの高處つかさ、 | 小高くある 市の高臺の、 |
爾比那閇夜爾 | 新嘗屋にひなへやに | 新酒をおあがりになる御殿に |
淤斐陀弖流 | 生ひ立だてる | 生い立つている |
波毘呂 由都麻都婆岐 | 葉廣はびろ ゆつま椿つばき、 | 廣葉の清らかな椿の樹、 |
曾賀波能 比呂理伊麻志 | そが葉の 廣りいまし、 | その葉のように廣らかにおいで遊ばされ |
曾能波那能 弖理伊麻須 | その花の 照りいます | その花のように輝いておいで遊ばされる |
多加比加流 比能美古爾 | 高光る 日の御子に、 | 尊い日の御子樣に |
登余美岐 多弖麻都良勢 | 豐御酒とよみき 獻らせ。 | 御酒をさしあげなさい。 |
許登能 | 事の | 事の |
加多理碁登母 | 語りごとも | 語り傳えは |
許袁婆 | こをば。 | かようでございます。 |