原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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加那斗加宜の歌 |
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於是穴穂御子。 興軍 圍 大前小前 宿禰之家。 |
穴穗の御子みこ 軍を興して、 大前小前の 宿禰の家を 圍かくみたまひき。 |
ここにアナホの御子が 軍を起して 大前小前の 宿禰の家を 圍みました。 |
爾到其 門時。 |
ここにその 門かなとに到りましし時に |
そしてその 門に到りました時に |
零大氷雨。 | 大氷雨ひさめ降りき。 | 大雨が降りました。 |
故歌曰。 | かれ歌よみしたまひしく、 | そこで歌われました歌、 |
意富麻幣 | 大前 | 大前 |
袁麻幣須久泥賀 | 小前宿禰が | 小前宿禰の |
加那斗加宜 | かな門陰とかげ | 家の門のかげに |
加久余理許泥 | かく寄より來こね。 | お立ち寄りなさい。 |
阿米多知夜米牟 | 雨立ち止やめむ。 | 雨をやませて行きましよう。 |
宮人振 |
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爾其 大前小前宿禰。 |
ここにその 大前小前の宿禰、 |
ここにその 大前小前の宿禰が、 |
擧手打膝。 |
手を擧げ、 膝を打ち、 |
手を擧げ膝を打つて |
儛訶那傳 〈自訶下 三字以音〉 |
舞ひかなで、 | 舞い奏かなで、 |
歌參來。 | 歌ひまゐ來く。 | 歌つて參ります。 |
其歌曰。 | その歌、 | その歌は、 |
美夜比登能 | 宮人の | 宮人の |
阿由比能古須受 | 足結あゆひの小鈴こすず。 | 足に附けた小鈴が |
淤知爾岐登 | 落ちにきと | 落ちてしまつたと |
美夜比登登余牟 | 宮人とよむ。 | 騷いでおります。 |
佐斗毘登母由米 | 里人もゆめ。 |
里人さとびとも そんなに騷がないでください。 |
此歌者。 | この歌は | この歌は |
宮人振也。 | 宮人曲みやひとぶりなり。 | 宮人曲みやびとぶりです。 |