原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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故更且還來。 | かれ更にまた還り來て、 | そこで更に還つて來て |
問其大國主神。 |
その大國主の神に 問ひたまひしく、 |
その大國主の命に 問われたことには、 |
汝子等。 | 「汝が子ども | 「あなたの子ども |
事代主神。 | 事代主の神、 | コトシロヌシの神・ |
建御名方神二神者。 | 建御名方の神二神ふたはしらは、 | タケミナカタの神お二方は、 |
隨天神御子之命。 | 天つ神の御子の命のまにまに | 天の神の御子の仰せに |
勿違白訖。 | 違はじと白しぬ。 | 背そむきませんと申しました。 |
故汝心奈何。 |
かれ汝なが心いかに」 と問ひたまひき。 |
あなたの心はどうですか」 と問いました。 |
爾答白之。 | ここに答へ白さく、 | そこでお答え申しますには、 |
僕子等 二神隨白。 |
「僕あが子ども 二神の白せるまにまに、 |
「わたくしの子ども 二人の申した通りに |
僕之不違。 | 僕あも違はじ。 | わたくしも違いません。 |
此葦原中國者。 | この葦原の中つ國は、 | この葦原の中心の國は |
隨命既獻也。 | 命のまにまに既に獻りぬ。 | 仰せの通り獻上致しましよう。 |
唯僕住所者。 | ただ僕が住所すみかは、 | ただわたくしの住所を |
如天神御子之。 | 天つ神の御子の、 | 天の御子みこの |
天津日繼所知之。 | 天つ日繼知らしめさむ | 帝位に |
登陀流 〈此三字以音 下效此〉 |
富足とだる | お登りになる |
天之御巢而。 | 天の御巣みすの如、 | 壯大な御殿の通りに、 |
於底津石根。 | 底つ石根に | 大磐石に |
宮柱布斗斯理。 〈此四字以音〉 |
宮柱太しり、 | 柱を太く立て |
於高天原。 | 高天の原に | 大空に |
氷木 多迦斯理 〈多迦斯理 四字以音〉而。 |
氷木ひぎ 高しりて |
棟木むなぎを 高くあげて |
治賜者。 | 治めたまはば、 | お作り下さるならば、 |
僕者於 百不足 八十坰手 隱而侍。 |
僕あは 百もも足らず 八十坰手やそくまでに 隱りて侍さもらはむ。 |
わたくしは 所々の隅に 隱れておりましよう。 |
亦僕子等 百八十神者。 |
また僕が子ども 百八十神ももやそがみは |
またわたくしの子どもの 多くの神は |
即八重事代主神。 | 八重事代主の神を | コトシロヌシの神を |
爲神之御尾前而 仕奉者。 |
御尾前さきとして 仕へまつらば、 |
導みちびきとして お仕え申しましたなら、 |
違神者非也。 | 違ふ神はあらじ」と、 | 背そむく神はございますまい」と、 |