原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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故 阿治志貴高日子根神者。 |
かれ 阿治志貴高日子根の神は、 |
そこで アヂシキタカヒコネの神が |
忿而飛去之時。 | 忿いかりて飛び去りたまふ時に、 | 怒つて飛び去つた時に、 |
其伊呂妹 高比賣命。 |
その同母妹いろも 高比賣たかひめの命、 |
その妹の 下照る姫が |
思顯其御名。 | その御名を顯さむと思ほして | 兄君のお名前を顯そうと思つて |
故歌曰。 | 歌ひたまひしく、 | 歌つた歌は、 |
阿米那流夜 淤登多那婆多能 | 天なるや 弟棚機おとたなばたの | 天の世界の 若わかい織姫おりひめの |
宇那賀世流 多麻能美須麻流 | うながせる 玉の御統みすまる、 | 首くびに懸けている 珠たまの飾かざり |
美須麻流能 阿那陀麻波夜 | 御統に あな玉はや。 | その珠の飾りの 大きい珠のような方 |
美多邇 布多和多良須 | み谷たに 二ふたわたらす | 谷たに 二ふたつ一度にお渡りになる |
阿治志貴 多迦比古泥能迦微曾也 |
阿遲志貴高日子根 あぢしきたかひこねの神ぞ。 |
アヂシキ タカヒコネの神でございます。 |
と歌いました。 | ||
此歌者夷振也。 | この歌は夷振ひなぶりなり。 | この歌は夷振ひなぶりです。 |