原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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速須佐之男命。 | 速須佐の男の命、 | 次にスサノヲの命が |
乞度 天照大御神 所纒 左御美豆良。 八尺勾璁之 五百津之 美須麻流珠而。 |
天照らす大御神の 左の御髻みみづらに 纏まかせる 八尺やさかの 勾珠まがたまの 五百津いほつの 御統みすまるの珠を 乞ひ度して、 |
天照らす大神の 左の御髮に 纏まいておいでになつた 大きな勾玉まがたまの 澤山ついている 玉の緒おを お請うけになつて、 |
奴那登母 母由良爾。 |
ぬなとも もゆらに、 |
音もさらさらと |
振滌 天之眞名井而。 |
天あめの眞名井に 振り滌ぎて、 |
天の眞名井の水に 滌そそいで |
佐賀美邇 迦美而。 |
さ齧みに 齧みて、 |
囓かみに 囓かんで |
於吹棄 氣吹之狹霧 所成神御名。 |
吹き棄つる 氣吹の狹霧に 成りませる神の御名は、 |
吹き棄てる 息の霧の中から あらわれた神は |
正勝 吾勝勝速日 天之忍穗耳命。 |
正勝吾勝勝速日 まさか あかつかちはやび 天あめの忍穗耳 おしほみみの命。 |
マサカ アカツカチハヤビ アメノ オシホミミの命、 |
亦乞度 所纒 右御美豆良 之珠而。 |
また 右の御髻に 纏かせる珠を 乞ひ度して、 |
次に 右の御髮の輪に 纏まかれていた珠を お請けになつて |
佐賀美邇 迦美而。 |
さ齧みに 齧みて、 |
囓みに 囓んで |
於吹棄 氣吹之狹霧所 成神御名。 |
吹き棄つる 氣吹の狹霧に 成りませる神の御名は、 |
吹き棄てる 息の霧の中から あらわれた神は |
天之菩卑能命。 〈自菩下 三字以音〉 |
天の菩卑ほひの命。 | アメノホヒの命、 |
亦乞度 所纒御鬘 之珠而。 |
また 御鬘みかづらに纏かせる 珠を乞ひ度して、 |
次に 鬘かずらに 纏いておいでになつていた 珠をお請けになつて |
佐賀美邇 迦美而。 |
さ齧みに 齧みて、 |
囓みに 囓んで |
於吹棄 氣吹之狹霧所 成神御名。 |
吹き棄つる 氣吹の狹霧に 成りませる神の御名は、 |
吹き棄てる 息の霧の 中からあらわれた神は |
天津日子根命。 |
天津日子根 あまつひこねの命。 |
アマツヒコネの命、 |
又乞度 所纏左御手 之珠而。 |
また 左の御手に纏まかせる 珠を乞ひ度して、 |
次に 左の御手に お纏きになつていた 珠をお請けになつて |
佐賀美邇 迦美而。 |
さ齧みに 齧みて、 |
囓みに 囓んで |
於吹棄 氣吹之狹霧所 成神御名。 |
吹き棄つる 氣吹の狹霧に 成りませる神の御名は、 |
吹き棄てる 息の霧の中から あらわれた神は |
活津日子根命。 |
活津日子根 いくつひこねの命。 |
イクツヒコネの命、 |
亦乞度 所纒右御手 之珠而。 |
また 右の御手に纏かせる 珠を乞ひ度して、 |
次に 右の御手に 纏いておいでになつていた 珠をお請けになつて |
佐賀美邇 迦美而。 |
さ齧みに 齧みて、 |
囓みに 囓んで |
於吹棄 氣吹之狹霧所 成神御名。 |
吹き棄つる 氣吹の狹霧に 成りませる神の御名は、 |
吹き棄てる 息の霧の中から あらわれた神は |
熊野久須毘命。 |
熊野久須毘 くまのくすびの命 |
クマノクスビの命、 |
〈并五柱。 自久下三字以音〉 |
(并はせて五柱。) |
合わせて五方いつかたの 男神が御出現になりました。 |
ここで登場する「正勝吾勝勝速日天之忍穗耳命」は、いわゆる三種の神器と共に下されるニニギの源流をなす存在(いわゆる天孫降臨)。
それでここでも神器の一つ、八尺勾璁が出てきている。
以下はオシホミミが地上に下される下り。
天照大御神之 命以。 |
天照らす大御神の 命もちて、 |
天照らす大神の お言葉で、 |
豐葦原之 千秋 長五百秋之 水穗國者。 |
「豐葦原の 千秋ちあきの 長五百秋ながいほあきの 水穗みづほの國は、 |
「葦原あしはらの 水穗みずほの國くには |
我御子。 | 我が御子 | 我わが御子みこの |
正勝吾勝勝速日 天忍穗耳命之 所知國。 |
正勝吾勝勝速日 まさかあかつかちはやひ 天の忍穗耳おしほみみの命の 知らさむ國」と、 |
マサカアカツカチハヤヒ アメノオシホミミの命の お治め遊あそばすべき國である」 |
言因賜而。 | 言依ことよさしたまひて、 | と仰せられて、 |
天降也。 | 天降あまくだしたまひき。 | 天からお降くだしになりました。 |
ここで天照が「我御子」としているが、それはここにあるように、元々の素体が天照の玉ということに基づいている。
しかしそこに息を吹き込んだのはスサノオ。つまり体は天照由来だが、精神がスサノオ。
つまり最強の体の最低最悪の○○が出現した。
だから「天忍穗耳命」はこの天降の直後、地上はうるさくて収められないといって、何もせず(命を無視して)戻ってきた。
もとはといえば、自分の前身であるスサノオが騒がせたのだが、それは収められないといってきた。
この次に生じた「天之菩卑」は「天菩比神」としてこの次に下されるが、大国主に媚びつき帰ってこなかった。
この次に生じた「天津日子根」は「天若日子」で、これもやはり大国主にとりこまれ、さらに天の使を射殺。大国主もスサノオの系譜。
その系譜が地上の統治をもてあそぶ、精神が異様に幼い見た目だけオッサンの権力者達。
信仰なんて何もない。参拝しておけばチョロイもの。