原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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於是 天神諸命以。 |
ここに 天つ神 諸もろもろの命みこと以もちて、 |
そこで 天の神樣方の仰せで、 |
詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神。 |
伊耶那岐いざなぎの命 伊耶那美いざなみの命 の二柱の神に詔のりたまひて、 |
イザナギの命みこと・ イザナミの命みこと 御二方 おふたかたに、 |
修理固成 是多陀用幣流 之國。 |
この漂へる國を 修理をさめ固め成せと、 |
「この漂つている國を 整えてしつかりと作り固めよ」とて、 |
賜 天沼矛 而。 |
天あめの 沼矛ぬぼこを 賜ひて、 |
りつぱな 矛ほこを お授けになつて |
言依賜也。 | 言依ことよさしたまひき。 | 仰せつけられました。 |
故 二柱神立 |
かれ 二柱の神、 |
それで この御二方 おふたかたの神樣は |
天浮橋而。 〈訓立云多多志〉 |
天あめの 浮橋うきはしに立たして、 |
天からの 階段にお立ちになつて、 |
指下 其沼矛以 畫者。 |
その沼矛ぬぼこを 指さし下おろして 畫きたまひ、 |
その矛ほこを さしおろして 下の世界をかき廻され、 |
鹽 許袁呂 許袁呂邇 〈此七字以音〉 畫鳴 〈訓鳴云那志〉而。 |
鹽 こをろこをろに 畫き鳴なして、 |
海水を 音を立てて かき廻して |
引上時。 | 引き上げたまひし時に、 | 引きあげられた時に、 |
自其矛末 垂落之鹽。 |
その矛の末さきより 滴したたる鹽の |
矛の先から 滴したゝる海水が、 |
累積成嶋。 | 積りて成れる島は、 | 積つて島となりました。 |
是 淤能碁呂嶋。 |
淤能碁呂 おのごろ島なり。 |
これが オノゴロ島です。 |
〈自淤以下 四字以音〉 |