昔男がいた。奈良から遷都し、この京に人家がまだまばらな頃、西の京に、世人の姿形より心が勝る女がいた。
この人(一人)しかいないのでは、と思えるほどに。
それでかの豆男(? ○平→×)がいいよったが、マジにナニもせんと帰って来た。
その心は。
何もせん せんと思うも、やはりせじ(世辞)
(形も大事と いわせんといて 友○心の俳句)
西の京とは ならか長岡
(西の京=奈良と長岡双方にある。どっちなの!? 「起きもせず寝もせで夜を明かしては」、はっきりしないなもう)
真面目とマメとかけ、マジで面目ないととく。
その心は「やはり住まん(本当ごめんね)」
…なんて言えないよ~(好きだなんて→× 業ひろ○×)。
だから、この歌を古今集で業平という認定は誤り(恋三616)。根拠がその認定以外にない。加えて文面にも業平とする根拠が全くない。
そして、古今集の業平と認定された作品は全て伊勢にしかない。だから業平から伊勢をとれば何一つ残らない。その程度の者がなぜ主人公たりうるのか。
だから論理が逆。業平が先ではなく後から付け足されただけ。理由があるはずと転換する発想自体おかしい。節操ない男=業平と決めつけただけのこと。
そして節操ない男と見た時点でこの物語を全く見誤っている。初段の解釈がそう。ただし、業平自体は節操が全くないと65段でも確実に説明されている。
男女 及び 和歌 |
定家本 |
武田本 (定家系) |
朱雀院塗籠本 (群書類従本) |
---|---|---|---|
第2段 西の京(の女) 眺め暮しつ | |||
♂ | むかし、男ありけり。 | むかし、おとこありけり。 | 昔男ありけり。 |
みやこのはじまりける時。 | |||
奈良の京は離れ、 | ならの京はゝなれ、 | ならの京ははなれ。 | |
この京は | この京は | 此京は | |
人の家まだ定まらざりける時に、 | 人のいゑまださだまらざりける時に、 | 人の家 いまださだまらざりける時。 | |
西の京に女ありけり。 | ゝしの京に女ありけり。 | 西京に女有けり。 | |
その女、世人にはまされりけり。 | その女世人にはまされりけり。 | 其女世の人にはまさりたりけり。 | |
その人、 | その人、 | ||
かたちよりは心なむまさりたりける。 | かたちよりはこゝろなむまさりたりける。 | かたちよりは心なんまされりける。 | |
ひとりのみもあらざりけらし。 | ひとりのみもあらざりけらし、 |
人そのみも [ひとりのみにもイ]あらざりけらし。 |
|
それをかのまめ男、 | それをかのまめおとこ、 | それをかのまめ男 | |
うち物語らひて、 | うちものがたらひて、 | うち物かたらひて。 | |
帰り来て、いかゞ思ひけむ、 | かへりきていかゞおもひけむ、 | かへりきていかが思ひけん。 | |
時はやよひのついたち、 | 時はやよひのついたち、 | 時は彌生の朔日。 | |
雨そほふるにやりける。 | あめそをふるにやりける。 | 雨うちそぼふりけるにやりける。 | |
♪3 |
起きもせず 寝もせで夜を明かしては |
おきもせず ねもせでよるをあかしては |
おきもせす ねもせてよるを明しては |
春のものとて 眺め暮しつ |
はるのものとて ながめくらしつ |
春の物とて 詠め暮しつ |
|
むかし、男ありけり。
奈良の京は離れ、この京は人の家まだ定まらざりける時に、西の京に女ありけり。
昔、男がいた。奈良の京は離れ(遷都し)、この京は、人家もまだ定まらず(まばらであった)時に、西の京に女がいた。
その女、世人にはまされりけり。
その人、かたちよりは心なむまさりたりける。
ひとりのみもあらざりけらし。
その女、世人に優り、つまり、その人の姿形より、心が何より優れているようだった。
ひとりのみもあらざりけらし(?)。その難しい心は、この世に一人だけだろうかと思えるほどの(男の世人に優る世辞であった)。
それをかのまめ男、うち物語らひて、帰り来て、いかゞ思ひけむ、
時はやよひのついたち、雨そほふるにやりける。
起きもせず
寝もせで夜を 明かしては
春のものとて 眺め暮しつ
それをかの豆男、自分の世辞にのっかり、ことをせじ(しよう)と思い、物語などうち語らいして、帰って来て(?)、ナニを思ったか(その心は)。
時は、弥生の一日(朔)。雨そほふるにやりける(?)。 雨そふる(なぞらえる)とかけ、そっと振りました。
起きもせず、寝もせで夜に、(ナニしたの)
ねもせでよるを、あかしては、(なにもせんと)
春のものとて、長め暗しつ。
その心は、ああ穀雨(虚空・無常)? 心栄えは見栄えありきかなと。これは多分そういう歌だね(うたたね)。寝たら一緒に寝たことになるから寝ない。