伊勢物語を便宜上、30話ずつに区切った。
実質的な意味区分でも符合しており、それは意図されている
・全体一覧
昔男(文屋)の人生体験・見聞録
後宮・田舎の里・地方と判事の経験
★第一部(-30)
昔男と後宮仕え(仕えた二条の后と筒井の妻)
宮仕えと東下り(至陸奥)の背景:筒井筒と梓弓(20~24)
伊勢で最も歌が厚いのが20~24。
田舎の幼馴染の話で業平など全く関係ない。
・第二部(-60)小町と有常(特に近い人)
・第三部(-90)在五出現・斎宮と盃(契り)
・第四部(-125)これまでの後日談
男女 |
段数 △朱雀落 |
♪ | 題 |
---|---|---|---|
第1段 | ② | 初冠★ | |
第2段 | 西の京 | ||
第3段 | ひじき藻 | ||
♀ | 第4段 | 西の対★(×月やあらぬ) | |
第5段 | 関守★ | ||
第6段 | 芥河★ | ||
第7段 | かへる浪 | ||
第8段 | 浅間の嶽 | ||
第9段 | ④ | 東下り★ | |
第10段 | ② | たのむの雁 | |
第11段 | 空ゆく月 | ||
第12段 | 武蔵野 | ||
第13段 | ② | 武蔵鐙 | |
第14段 | ③ | 陸奥の国 | |
♀ | 第15段 | しのぶ山 | |
第16段 | ④ | 紀有常 | |
第17段 | ② | 年にまれなる人 | |
♀ | 第18段 | ② | 白菊 |
第19段 | ② | 天雲のよそ | |
第20段 | ② | 楓のもみぢ | |
♂♀ | 第21段 | ⑦ | 思ふかひなき世 |
♀ | 第22段 | ④ | 千夜を一夜 |
♂♀ | 第23段 | ⑤ | 筒井筒★ |
第24段 | ④ | 梓弓★ | |
第25段 | ② | 逢はで寝る | |
△第26段 | もろこし舟 | ||
第27段 | ② | たらひの影 | |
♀ | 第28段 | あふご形見 | |
♀ | 第29段 | 花の賀 | |
第30段 | はつかなりける女 |
教科書でまず確実に取り上げられるのものに★をつけ、場合により取り上げられるものを★にした。
一部では、20~24段が一続きで物語中最も和歌が厚い。伊勢物語の最重要部。昔男の馴れ初め話。
業平は関係ない。冒頭が田舎から始まるのは筒井筒と梓弓のみ。昔男が宮仕えに出る前の出自の話である。
筒井筒で結ばれ、梓弓で死に別れるわけだが、その間にあった話が94段の「紅葉も花も」。その歌に春日とあり確実に奈良の話(初段同様)。
これは20段の「楓もみぢ」と明確に掛けられた内容。筒井筒は、大和とあるから、奈良の筒井の話。そこから男は別れを惜しみ宮仕えに出る。
続く95段に「二条の后に仕うまつる男」とある。これが昔男。
業平の恋愛話ではない。夜這いでも駆け落ちでもない。それは外野の噂。そう見られる3~5段を受けた6段に、はっきりそう記されている。
妻と死に別れて都で宮仕えする理由がなくなった。だから東に下っている(≒任官を希望した、あるいは受け入れた)。
そして縫殿という後宮にいた六歌仙の男には、東下りの三河に赴任した記録もあるし、二条の后の詞書の歌も完全独自のものを二つ持っている。
服に詳しいから、狩衣(初段)や唐衣(9段)の歌も出す。万葉で唐衣は一首しかなく、源氏に歌で唐衣ばかりと言わせるのは、まず伊勢の影響。