原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
古者民有三疾 | 古者いにしへは民たみに三疾さんしつ有あり、 | 「昔の人に憂うべきことが三つあつたが、 |
今也或是之亡也 | 今いまや是これある亡なきなり。 | 今はその憂うべきことを通りこして、全く救いがたいものになっているらしい。 |
古之狂也肆 | 古いにしへの狂きやうや肆し、 | 昔の理想狂の弊は、自由奔放で小事にこだわらない程度であった。 |
今之狂也蕩 | 今いまの狂きやうや蕩たう。 | 然るに今の理想狂は徒らに放縦である。 |
古之矜也廉 | 古いにしへの矜きようや廉れん、 | 昔、ほこりをもって己を高くした人々の弊は、廉直に過ぎて寄りつきにくい程度であった。 |
今之矜也忿戾 | 今いまの矜きようや忿戾ふんれい。 | 然るに今のそうした人々は強情でひねくれている。 |
古之愚也直 | 古いにしへの愚ぐや直ちよく、 | 昔の愚か者は正直であった。 |
今之愚也詐而已矣 | 今いまの愚ぐや詐さのみ。 | 然るに今の愚か者はずるくて安心が出来ない。」 |