原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子路問成人 | 子路しろ成人せいじんを問とふ、 | 子路が「成人」の資格についてたずねた。 |
子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
若臧武仲之知 | 臧武仲ざうぶちうの知ち、 | 「臧武仲ぞうぶちゅうの知、 |
公綽之不欲 | 公綽こうしやくの不欲ふよく、 | 公綽こうしゃくの無欲、 |
卞莊子之勇 | 卞荘子べんさうしの勇ゆう、 | 卞荘子べんそうしの勇気、 |
冉求之藝 | 冉求ぜんきうの芸げいの若ごとくして、 | 冉求ぜんきゅうの多芸をかね、 |
文之以禮樂 | 之これを文かざるに礼楽れいがくを以もつてせば、 | 更に礼楽をもつて磨きをかけたら、 |
亦 可以爲成人矣 |
亦また 以もつて成人せいじんと為なす可べし。 |
成人といってもいいだろう。」 |
曰 | 曰く、 | さらにいわれた。 |
今之成人者 | 今いまの成人せいじんは、 | 「しかし、今のような乱世では、 |
何必然 | 何なんぞ必かならずしも然しからん。 | そこまでは望めまい。 |
見利思義 | 利りを見みて義ぎを思おもひ、 | 利得の問題では道義を考え、 |
見危授命 | 危あやふきを見みて命めいを授さづけ、 | 国家の危急に臨んでは身命をなげうち、 |
久要 不忘 平生之言 |
久要きうえう 平生へいぜいの言げんを 忘わすれずんば、 |
古い約束や、 平常の誓いを 忘れずに実行する、 |
亦可以爲成人矣 | 亦また以もつて成人せいじんと為なすべし。 | というような人であったら、今ではまずまず成人といえるだろう。」 |