原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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顏淵喟然歎曰 | 顏淵がんゑん喟然きぜんとして歎たんじて曰く、 | 顔渕がため息をつきながら讃歎していった。 |
仰之彌高 | 之これを仰あふげば彌々いよいよ高たかく、 | 「先生の徳は高山のようなものだ。仰げば仰ぐほど高い。 |
鑽之彌堅 | 之これを鑽きれば彌々いよいよ堅かたし、 | 先生の信念は金石のようなものだ。鑚きれば鑚きるほど堅い。 |
瞻之在前 | 之これを瞻みれば前まへに在あり、 | 捕捉しがたいのは先生の高遠な道だ。 |
忽焉在後 | 忽焉こつえんとして後しりへに在あり、 | 前にあるかと思うと、たちまち後ろにある。 |
夫子 循循然 善誘人 |
夫子ふうし 循循然じゆんじゆんぜんとして 善よく人ひとを誘いざなひ、 |
先生は 順序を立てて、一歩一歩と われわれを導き、 |
博我以文 | 我われを博ひろむるに文ぶんを以もつてし、 | われわれの知識をひろめるには各種の典籍、文物制度を以てせられ、 |
約我以禮 | 我を約やくするに礼れいを以もつてす、 | われわれの行動を規制するには礼を以てせられる。 |
欲罷不能 | 罷やめんと欲ほつすれども能あたはず、 | 私はそのご指導の精妙さに魅せられて、やめようとしてもやめることが出来ず、 |
既竭吾才 | 既すでに吾わが才さいを竭つくせり、 | 今日まで私の才能のかぎりをつくして努力して来た。 |
如 有所立 卓爾 |
立たつ所ところ有あつて 卓爾たくじたるが 如ごとし、 |
そして今では、どうなり先生の道の本体をはっきり眼の前に見ることが 出来るような気がする。 |
雖欲從之 | 之これに從したがはんと欲ほつすと雖いへども、 | しかし、いざそれに追いついて捉えようとすると、 |
末由也已 | 由よる末なきのみ | やはりどうにもならない。」 |