原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人+【独自】 要検討 |
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顏淵死 | 顏淵がんゑん死しす。 | 顔渕が死んだ。 |
顏路 請 子之車以 爲之槨 |
顏路がんろ 子しの車くるま以もつて 之これが槨くわくを為つくらんと 請こへり。 |
【父の顔路がんろは 先師の車で これを槨(棺の外箱)となすこと を願った。】 |
×父の顔路がんろは彼のために 外棺そとがんを造ってやりたいと思ったが、 貧しくて意に任せなかった。 そこで先師に願った。 「先生のお車をいただけますれば、 それを金にかえて、 外棺を作ってやりたいと存じますが……」 |
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子曰 | 子曰く、 | すると先師はいわれた。 |
才 不才 |
才さいも 不才ふさいも、 |
「才能があろうと なかろうと、 |
亦各 言 其子也 |
亦また各おのおの 其子そのこと 言いふ |
子の可愛ゆさは同じだ。 |
鯉也死 | 鯉りや死しせしとき、 | 私も子供の鯉りが死んだ時には、 |
有棺而 無槨 |
棺くわん有ありて 槨くわく無なかりき |
【棺はあったが、 槨はなかった。 |
吾不徒行 以爲之槨 |
吾われ徒行とかうして 以もつて之これが槨くわくを 為つくらざりしは、 |
私が(車に乗らず)歩くことにして 車を槨にすることを しなかったのは】 |
×せめて外棺ぐらい作ってやりたい気がしないでもなかった。 しかしついに内棺だけですますことにしたのだ。 私がその時、徒歩する覚悟にさえなれば、 車を売って外棺を作ってやることも出来ただろう。 しかし、私が敢てそれをしなかったのは、 |
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以 吾 從 大夫之後 不可 徒行也 |
吾われ 大夫たいふの後しりへに 從したがひて、 徒行とかうす 可べからざるを 以もつてなり |
私も 大夫の末席に つらなっているので、 職掌から、徒歩するわけに行かなかった からだ。」 |
【※本章は子目線で見れば、車に乗るのは楽だから・車が惜しいからと見る余地もあるが、孔子は席が正しくなければ座らなかった(10-9:席不正不坐)章と対で理解する必要がある。】