原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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絵に、 | 絵に、 | |
もののけ憑きたる女の | もののけの憑いた女の | 【もののけ憑きたる女】-男の今の妻。 |
醜きかた描きたる後ろに、 | 醜い姿を描いた背景に、 | |
鬼になりたる元の妻を、 | 死んで鬼になった先妻を、 | 【鬼になりたる元の妻】-もののけを移した憑坐(よりまし)。 |
小法師の縛りたるかた描きて、 | 小法師が縛った姿を描いて、 | |
男は経読みて、 | 夫は経を読んで、 | 【男】-実践本「おとこ」は定家の仮名遣い。 |
もののけ責めたる | もののけを退散させようとしている | |
ところを見て、 | ところを見て、 | |
亡き人に | もののけ〈亡き人〉に | |
かごとはかけて | かこつけて | |
わづらふも | 手こずっているというが〈苦しんでも〉 | |
おのが心の | 実は自分の心の | 【おのが】-「をのか」は定家の仮名遣い。 |
鬼にやはあらぬ | 鬼に責められているのではないでしょうか | |