原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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亡くなりし人の女の、 | 亡くなった夫の娘が、 | 【亡くなりし人の女の】-亡き夫宣孝の娘。他の妻の娘。 |
親の手書きつけたりけるものを見て、 | 父親の筆跡で書きつけてあったものを見て、 | |
言ひたりし。 | 詠んで寄越した歌。 | |
夕霧に | 夕霧のために | |
み島隠れし | 島蔭に隠れた | |
鴛鴦の子の | 鴛鴦の子のように | |
跡を見る見る | 父の筆跡を見ながら | |
惑はるるかな | 悲嘆に暮れています | 【惑はるる】-途方に暮れている、悲嘆に暮れている。 |
「みしま、三島、摂津又筑前 家集 紫式部
夕霧にみしまがくれしをしのこの跡を見る見るまどはるるかな
此歌は、なく成りにける人の親のてして書付けたる物を見てよめると云々」(静嘉堂文庫本「夫木和歌抄」雑五 島 一〇五八四)