原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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門の前より渡るとて、 | 門の前を通るので、 | 【門の前より渡るとて】-わたしの家の門の前を夫の宣孝が通りかかるので。 |
「うちとけたらむを見む」 | 「うちとけている様子を見たい」 | |
とあるに、 | と寄越したので、 | |
書きつけて返しやる。 | それに書いて返した歌。 | |
なほざりの | 何でもない | 【なほざりの】-「なをさり」は平安の仮名遣い。 |
たよりに訪はむ | 折に訪ねようという | |
人言に | 人の言葉に | |
うちとけてしも | うちとけた様子は | |
見えじとぞ思ふ | けっして見せまいと思っています | |
「門の前をとほるとてうちとけたるさまをみんと人の申して侍りければ、返事にかきてつかはしける 紫式部
なほざりのたよりにとはん一言にうちとけてしもみえじとぞ思ふ」(吉田兼右筆本「玉葉集」恋三 一五五四)