原文 実践女子大本 (定家本系筆頭) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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九月九日、 | 九月九日の重陽の節に、 | 【九月九日】-重陽の節供。 |
菊の綿を | 菊の綿を | |
上の御方より賜へるに、 | 殿の奥方から賜ったので、 | 【上の御方】-殿の北の方、源倫子。 |
菊の露 | 菊の露で | |
若ゆばかりに | 若返るほどに | |
袖触れて | 袖を拭って | |
花のあるじに | この花の主人に | |
千代は譲らむ | 千代の齢はお譲り申し上げましょう | |
*「きくの露わかゆばかりにそでふれて花のあるじに千代はゆづらむ」(黒川本「紫日記」四)
*「九月九日、従一位倫子菊のわたをたまひて、おいのごひすてよと侍りければ 紫式部
きくのつゆわかゆばかりにそでふれて花のあるじに千世はゆづらむ」(樋口芳麻呂氏本「新勅撰集」賀 四七五)