原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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明かうなれば入りぬ。 | 明るくなったので室内に入った。 | |
長き根を包みて、 | 長い菖蒲の根を包んで、 | 【長き根を包みて】-主語は小少将の君。源時通の娘。 |
なべて世の | 世間一般の | |
憂きに泣かるる | 嫌さに涙ぐまれる | 【憂きに泣かるる】-「泥土(うき)に流るる」を響かす。 |
菖蒲草 | 菖蒲草 | |
今日までかかる | 今日までこのような | |
根はいかが見る | 長い根はどうして見たことがありましょうか | 【根】-「音」を響かす。「泥土」「流るる」「根」は「菖蒲草」の縁語。 |
「つぼねならびにすみ侍りけるころ、五月六日、もろともにながめあかして、あしたにながきねをつつみて、紫式部につかはしける 上東門院小少将
なべてよのうきになかるるあやめ草けふまでかかるねはいかがみる」(寿本「新古今集」夏 二二三)