原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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「遥かなる所に、 | 「遥か遠い任国に、 | 【遥かなる所に】-遠国の任国であろう。 |
行きやせむ、 | 行こうか、 | |
行かずや」と、 | 行くまいか」と、 | |
思ひわづらふ人の、 | 思い煩っていた人が、 | |
山里より紅葉を折りて | 山里から紅葉を手折って | 【折りて】-実践本「おる」は定家の仮名遣い。 |
おこせたる、 | 寄越した歌、 | 【おこせたる】-完了の助動詞「たる」連体形、下に「歌」を補って解釈する。実践本「をこす」は定家の仮名遣い。 |
露深く | 露が深く | 【露深く奥山里】-「露」は「袖」の上に置いた涙を連想させる。 |
奥山里の | 置いている奥山里の | 「奥」は「露(が深く)置く」と「奥山里」の「奥」が掛詞となっているが、定家仮名遣いでは「(つゆが)をく」と「おく山」は書き分けられるところ。実践本では「つゆふかくを(遠)く山さと」となっている。 |
もみぢ葉に | もみぢ葉に | |
かよへる袖の | 似かよった袖の | |
色を見せばや | 色をお見せしたいですね | 【袖の色】-涙で真っ赤に染まった袖の色。血の涙を連想させる。 |