原文 (実践女子大本) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
注釈 【渋谷栄一】 |
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賀茂に詣うでたるに、 | 上賀茂神社に参詣した時に、 | 【賀茂】-下に「片岡」が出てくるので、上賀茂神社のこと。 |
「ほととぎす鳴かなむ」 | 「ほととぎすが鳴いてほしい」 | 【鳴かなむ】-終助詞「なむ」願望を表す。鳴いてほしい。 |
と言ふあけぼのに、 | という明け方に、 | |
片岡の木末 | 片岡の森の木末が | 【片岡】-「片岡の森」山城国の歌枕。上賀茂神社の近辺の森。ほととぎすの名所。 |
をかしく見えけり。 | 趣き深く見えたことであった。 | |
ほととぎす | ほととぎすの | 【をかしく】-実践本「おかし」は定家の仮名遣い。 |
声待つほどは | 鳴く声を待つ間は、 | |
片岡の | 片岡の | |
森の雫に | 森の雫に | |
立ちや濡れまし | 車の外に立って、濡れましょうかしら |
【立ちや濡れまし】-牛車の外に出て、雫に濡れる。 係助詞「や」、仮想の助動詞「まし」連体形、係結び。 |
「賀茂にまうでて侍りけるに、人の、郭公なかなんと申しけるあけぼの、かたをかのこずゑをかしく見え侍りければ 紫式部
郭公こゑまつほどはかたをかのもりのしづくにたちやぬれまし」(寿本「新古今集」夏 一九一)