即答 | 4首 | 40字未満 |
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応答 | 2首 | 40~100字未満 |
対応 | 4首 | ~400~1000字+対応関係文言 |
単体 | 3首 | 単一独詠・直近非対応 |
※分類について和歌一覧・総論部分参照。
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上下の句に分割したバージョン。見やすさに応じて。
なお、付属の訳はあくまで通説的理解の一例なので、訳が原文から離れたり対応していない場合、より精度の高い訳を検討されたい。
贈 答 別 |
原文 (定家本校訂) |
現代語訳 (渋谷栄一) |
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309 贈 |
人知れず 神の許しを 待ちし間に ここらつれなき 世を過ぐすかな |
〔源氏〕誰にも知られず 賀茂の神のお許しを 待っていた間に 長年つらい 世を過ごしてきたことよ |
310 答 |
なべて世の あはればかりを 問ふからに 誓ひしことと 神やいさめむ |
〔朝顔:斎院〕一通りの お見舞いの 挨拶をするだけでも 誓ったことに背くと 賀茂の神がお戒めになるでしょう |
311 贈 |
見し折の つゆ忘られぬ 朝顔の 花の盛りは 過ぎやしぬらむ |
〔源氏〕昔拝見したあなたが どうしても忘れられません その朝顔の 花は盛りを 過ぎてしまったのでしょうか |
312 答 |
秋果てて 霧の籬に むすぼほれ あるかなきかに 移る朝顔 |
〔朝顔:斎院〕秋は終わって 霧の立ち込める 垣根にしぼんで 今にも枯れそうな 朝顔の花のようなわたしです |
313 独 |
いつのまに 蓬がもとと むすぼほれ 雪降る里と 荒れし垣根ぞ |
〔源氏〕いつの間に この邸は蓬が生い茂り 雪に埋もれたふる里と なってしまったのだろう |
314 贈 |
年経れど この契りこそ 忘られね 親の親とか 言ひし一言 |
〔典侍〕何年たっても あなたとのご縁が 忘れられません 親の親――わたしはあなたの祖母、とか おっしゃった一言がございますもの |
315 答 |
身を変へて 後も待ち見よ この世にて 親を忘るる ためしありやと |
〔源氏〕来世に生まれ変わった 後まで待って見てください この世で 子が親を忘れる 例があるかどうかと |
316 贈 |
つれなさを 昔に懲りぬ 心こそ 人のつらきに 添へてつらけれ |
〔源氏〕昔のつれない仕打ちに 懲りもしない わたしの心までが あなたがつらく思う心に 加わってつらく思われるのです |
317 答 |
あらためて 何かは見えむ 人のうへに かかりと聞きし 心変はりを |
〔朝顔:斎院〕今さらどうして 気持ちを変えたりしましょう 他人では そのようなことがあると聞きました 心変わりを |
318 贈 |
氷閉ぢ 石間の水は 行きなやみ 空澄む月の 影ぞ流るる |
〔紫上〕氷に閉じこめられた 石間の遣水は 流れかねているが 空に澄む月の 光はとどこおりなく西へ流れて行く |
319 答 |
かきつめて 昔恋しき 雪もよに あはれを添ふる 鴛鴦の浮寝か |
〔源氏〕何もかも 昔のことが恋しく思われる 雪の夜にいっそう しみじみと思い出させる 鴛鴦の鳴き声であることよ |
320 独 |
とけて寝ぬ 寝覚さびしき 冬の夜に むすぼほれつる 夢の短さ |
〔源氏〕安らかに眠られず ふと寝覚めた寂しい 冬の夜に 見た夢の何とも短かかったことよ |
321 独 |
亡き人を 慕ふ心に まかせても 影見ぬ三つの 瀬にや惑はむ |
〔源氏〕亡くなった方を 恋慕う心に まかせてお尋ねしても その姿も見えない 三途の川のほとりで迷うことであろうか |