勅勘の所に靫(ゆぎ)懸くる作法、今は絶えて、知れる人なし。 主上の御悩、大方、世の中の騒がしき時は、五条の天神に靫を懸けらる。 鞍馬に靫の明神といふも、靫懸けられたりける神なり。 看督長の負ひたる靫をその家に懸けられぬれば、人出で入らず。 この事絶えて後、今の世には、封を著くることになりにけり。