原文 | 現代語訳 | 注 |
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亀山殿の御池に、大井川の水をまかせられんとて、 | 亀山殿の御池に、大井川の水を引き込もうとして、 | ・まかす |
大井の土民に仰せて、水車を造らせられけり。 | 殿が大井の土民にお命じになって、水車を造らせられた。 | 〇土民(未開の蛮族的蔑称) |
多くの銭を給ひて、数日に営み出だして、掛けたりけるに、 | 多くの代金をお与えして、数日間駆り出して、掛けたところ、 | |
おほかためぐらざりければ、 | ほとんど全く回らなかったので、 | ・おほかた~打消:解釈 |
とかく直しけれども、 | とにかくあれこれ直したけれども、 | ・とかく:解釈 |
つひにまはらで、いたづらに立てりけり。 | 遂に回らないで、役に立たないのに立っていた(頓知)。 | ●解釈 |
さて、宇治の里人を召して、こしらへさせられければ、 | さてそこで、宇治の里人を召して、こしらえさせると、 | ・里人(村人=フラット) |
やすらかに結ひて参らせたりけるが、思ふやうにめぐりて、 | たやすく組み上げられたのが、思うように回って、 |
・やすらかに ・参らす 〇文脈解釈 |
水をくみ入るること、めでたかりけり。 | 水を汲み上げ入れることは、見事で喜ばしかった。 | ・めでたし:解釈 |
よろづにその道を知れる者は、やんごとなきものなり。 | 何事にもその道を知っている者は、格別に尊いものである。 | ・やんごとなし |