光親卿、院の最勝講奉行して候ひけるを、御前へ召されて供御を出だされて食はせられけり。 さて食ひちらしたる衝重を、御簾の中へさし入れてまかり出でにけり。 女房、「あなきたな、誰にとれとてか」など申しあはれければ、「有職のふるまひ、やむごとなきことなり」 返す返す感ぜさせ給ひけるとぞ。