わが身のやむごとなからんにも、まして数ならざらんにも、子といふ物なくてありなん。
前中書王、苦情太政大臣、花園左大臣、みな族絶えんことを願ひ給へり。 染殿大臣も、「子孫おはせぬぞよく侍る。末のおくれ給へるはわろきことなり」とぞ、世継の翁の物語にはいへる。 聖徳太子の、御墓をかねて築かせ給ひける時も、「ここを切れ、かしこを断て。子孫あらせじと思ふなり」と侍りけるとかや。