不幸に愁へにしづめる人の、頭おろしなど、ふつつかに思ひとりたるにはあらで、あるかなきかに門さしこめて、待つこともなく明かし暮らしたる、はるかにあらまほし。
顕基中納言の言ひけむ、配所の月、罪なくて見むこと、さも覚えぬべし。