ある人、法然上人に、「念仏の時、眠りにをかされて行を怠り侍ること、いかがして、この障りをやめはべらむ」と申しければ、「目のさめたらむほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いと尊かりけり。 また、「往生は一定と思へば一定、不定と思へば不定なり」と言はれけり。 これも尊し。 また、「疑ひながらも念仏すれば、往生す」とも言はれけり。 これもまた尊し。