露霜にしほたれて、所定めずまどひありき、親のいさめ、世のそしりをつつむに心のいとまなく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらにたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。