『徒然草』、吉田兼好(又の名を卜部兼好:1283-1350頃)、鎌倉末期1330年頃完成の作品。1313遁世後1319から執筆説(全注釈)がある。
署名はないものの、兼好作は諸記録により争いなく認定されている。これは伊勢物語と対照的で、長短おりまぜ・段区分から、いわば生まれ変わり作品。
作品全体:徒然草←枕草子よりとりとめない、いたづらな文章。無駄話。『駄文』
題先頭 :徒然 ←平家物語1例(官位辞し籠居の客観情況) ×所在ない・手持無沙汰(通説)は主観的一般論。兼好は文と和歌の道(1段)のため遁世。
本文先頭:つれづれなるままに←源氏物語のフレーズ(竹取・伊勢・大和・蜻蛉・枕草子にない。「つれづれ」自体は『児の空寝』等でもありふれた表現)。
→本作での具体的解釈:他にすることもないので。×所在なさにまかせて=他律的。兼好は自律的。暇→所在ない=世間の考え方。
枕草子・源氏物語・平家物語は全て徒然草で直接言及されている。
・和歌一覧
和歌5首。兼好は和歌四天王とされるが和歌は少なく意図的に絞ったと思われる(土佐日記55日・60首、枕草子319段・33首、源氏物語54帖・795首)。
・原文全文
序+1~243段=全244段。語句横断検索、テキスト取得用。
・各段:区分は独自の便宜上のもの
第一部 序-40 |
第二部 41-80 |
第三部 81-120 |
第四部 121-160 |
第五部 161-200 |
第六部 201-243 |
段 | 冒頭 |
---|---|
序 | つれづれなるままに |
1 | いでや、この世に生まれては |
2 | いにしへの聖の御代の |
3 | よろづにいみじくとも |
4 | 後の世のこと、心に忘れず |
5 | 不幸に愁へにしづめる人の |
6 | わが身のやむごとなからんにも |
7 | あだし野の露消ゆる時なく |
8 | 世の人の心まどはすこと |
9 | 女は髪のめでたからんこそ |
10 | 家居のつきづきしく |
11 | 神無月のころ |
12 | 同じ心ならん人と |
13 | ひとり灯のもとに |
14 | 和歌こそ【貫之、古今、源氏物語、新古今】 |
15 | いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ |
16 | 神楽こそなまめかしく |
17 | 山寺にかきこもりて |
18 | 人はおのれをつづましやかにし |
19 | をりふしの移り変はるこそ【源氏、枕草子】 |
20 | なにがしとかや言ひし世捨人の |
21 | よろづのことは |
22 | 何事も、古き世のみぞしたはしき |
23 | おとろへたる末の世とはいへど |
24 | 斎宮の野宮におはします有様こそ |
25 | 飛鳥川の淵瀬 |
26 | 風も吹きあへず ♪ |
27 | 御国ゆづりの節会おこなはれて ♪ |
28 | 諒闇の年ばかり |
29 | 静かに思へば |
30 | 人の亡きあとばかり悲しきはなし |
31 | 雪のおもしろう降りたりしあした |
32 | 九月二十日のころ |
33 | 今の内裏作り出だされて |
34 | 甲香は、ほら貝のやうなる |
35 | 手のわろき人の |
36 | 久しくおとづれぬ頃 |
37 | 朝夕隔てなく馴れたる人の |
38 | 名利につかはれて |
39 | ある人、法然上人に |
40 | 因幡国に、何の入道とかやいふ者の娘 |
段 | 冒頭 |
---|---|
41 | 五月五日 |
42 | 唐橋中将といふ人の子に |
43 | 春の暮れつ方 |
44 | あやしの竹の編戸のうちより |
45 | 公世の二位のせうとに |
46 | 柳原の辺に |
47 | ある人、清水へ参りたりけるに |
48 | 光親卿 |
49 | 老来たりて |
50 | 応長の頃、伊勢国より |
51 | 亀山殿の御池に |
52 | 仁和寺にある法師 |
53 | これも仁和寺の法師 |
54 | 御室に、いみじき児のありけるを |
55 | 家の作りやうは |
56 | 久しく隔たりて会ひたる人の |
57 | 人の語り出でたる歌物語の |
58 | 道心あらば、住む所にしも |
59 | 大事を思ひ立たむ人は |
60 | 真乗院に、盛親僧都とて |
61 | 御産のとき甑落とすことは |
62 | 延政門院いときなくおはしませる時 ♪ |
63 | 後七日の阿闍梨 |
64 | 車の五緒は、必ず人によらず |
65 | この頃の冠は |
66 | 岡本関白殿【伊勢物語】 |
67 | 加茂の岩本、橋本は ♪ |
68 | 筑紫に、なにがしの押領使など |
69 | 書写の上人は |
70 | 元応の清暑堂の御遊に |
71 | 名を聞くより、やがて面影は |
72 | 賎しげなるもの |
73 | 世に語り伝ふること |
74 | 蟻のごとくに集まりて |
75 | つれづれわぶる人は |
76 | 世のおぼえはなやかなるあたりに |
77 | 世の中に、その頃人のもてあつかひ |
78 | 今様のことどもの珍しきを |
79 | 何事も入りたたぬさましたる |
80 | 人ごとに、我が身にうとき事を |
段 | 冒頭 |
---|---|
81 | 屏風、障子などの絵も文字も |
82 | うすものの表紙は |
83 | 竹林院入道左大臣殿 |
84 | 法顕三蔵の |
85 | 人の心すなほならねば |
86 | 惟継中納言は |
87 | 下部に酒飲ますることは |
88 | ある者、小野道風の書ける |
89 | 奥山に猫またといふもの |
90 | 大納言法印の召し使ひし乙鶴丸 |
91 | 赤舌日といふこと |
92 | ある人、弓射ることを習ふに |
93 | 牛を売る者あり |
94 | 常盤井相国 |
95 | 箱のくりかたに緒をつくること |
96 | めなもみといふ草あり |
97 | その物につきてその物を費しそこなふ物 |
98 | 尊きひじりの言ひ置きける事を |
99 | 堀川相国は |
100 | 久我相国は |
101 | ある人、任大臣の節会の内弁を |
102 | 尹大納言光忠入道 |
103 | 大覚寺殿にて、近習の人ども |
104 | 荒れたる宿の |
105 | 北の屋かげに |
106 | 高野の証空上人 |
107 | 女の物言ひかけたる返事 |
108 | 寸陰惜しむ人なし |
109 | 高名の木登り |
110 | 双六の上手といひし人に |
111 | 囲碁、双六好みて |
112 | 明日は遠き国へ |
113 | 四十にも余りぬる人の |
114 | 今出川の大殿 |
115 | 宿河原といふ所にて |
116 | 寺院の号、さらぬよろづのものにも |
117 | 友とするにわろきもの |
118 | 鯉の羹食ひたる日には |
119 | 鎌倉の海に鰹といふ魚は |
120 | 唐のものは、薬のほかは |
段 | 冒頭 |
---|---|
121 | 養ひ飼ふものには |
122 | 人の才能は、文あきらかにして |
123 | 無益のことをなして |
124 | 是法法師は |
125 | 人に後れて |
126 | ばくちの負け極まりて |
127 | 改めて益なき事は |
128 | 雅房大納言は |
129 | 顔回は |
130 | 物に争はず |
131 | 貧しき者は |
132 | 鳥羽の作道は |
133 | 夜の御殿は |
134 | 高倉院の法華堂の三昧僧 |
135 | 資季大納言入道とかや聞こえける人 |
136 | 医師篤成 |
137 | 花は盛りに |
138 | 祭過ぎぬれば ♪【枕草子、鴨長明】 |
139 | 家にありたき木は |
140 | 身死して財残ることは |
141 | 悲田院の尭蓮上人は |
142 | 心なしと見ゆる者も |
143 | 人の終焉の有様 |
144 | 栂尾の上人 |
145 | 御随身秦の重躬 |
146 | 明雲座主 |
147 | 灸治、あまた所に成りぬれば |
148 | 四十以後の人 |
149 | 鹿茸を鼻に当てて |
150 | 能をつかんとする人 |
151 | ある人の云はく |
152 | 西大寺の静然上人 |
153 | 為兼大納言入道 |
154 | この人、東寺の門に |
155 | 世に従はん人は |
156 | 大臣の大饗は |
157 | 筆を取れば物書かれ |
158 | 盃の底を捨つる事は |
159 | みなむすびといふは |
160 | 門に額懸くるを |
段 | 冒頭 |
---|---|
161 | 花の盛りは |
162 | 遍照寺の承仕法師 |
163 | 太衝の太の字 |
164 | 世の人相逢ふ時 |
165 | 東の人の |
166 | 人間の営み合へるわざを見るに |
167 | 一道にたづさはる人 |
168 | 年老いたる人の |
169 | 何事の式といふ事は |
170 | さしたることなくて人のがり行くは |
171 | 貝を覆ふ人の |
172 | 若きときは |
173 | 小野小町が事 |
174 | 小鷹によき犬 |
175 | 世には、心得ぬ事の多きなり |
176 | 黒戸は |
177 | 鎌倉中書王にて |
178 | ある所の侍ども |
179 | 入宋の沙門 |
180 | さぎちやうは |
181 | 降れ降れ粉雪 |
182 | 四条大納言隆親卿 |
183 | 人突く牛をば角を截り |
184 | 相模守時頼の母は |
185 | 城陸奥守泰盛は |
186 | 吉田と申す馬乗り |
187 | よろづの道の人 |
188 | ある者、子を法師になして |
189 | 今日はそのことをなさむと |
190 | 妻といふものこそ |
191 | 夜に入りて、物の映えなし |
192 | 神、仏にも |
193 | くらき人の |
194 | 達人の、人を見る眼は |
195 | ある人、久我縄手を通りけるに |
196 | 東大寺の神輿 |
197 | 諸寺の僧のみにもあらず |
198 | 揚名介に限らず |
199 | 横川行宣法師が申し侍りしは |
200 | 呉竹は |
段 | 冒頭 |
---|---|
201 | 退凡、下乗の卒塔婆 |
202 | 十月を神無月と言ひて |
203 | 勅勘の所に靫懸くる作法 |
204 | 犯人を笞にて打つ時は |
205 | 比叡山に、大師勧請の起請といふ事は |
206 | 徳大寺故大臣殿 |
207 | 亀山殿建てられんとて |
208 | 経文などの紐を結ふに |
209 | 人の田を論ずる者 |
210 | 喚子鳥(よぶこどり)は春のものなり |
211 | よろづの事は頼むべからず |
212 | 秋の月は |
213 | 御前の火炉に火を置く時は |
214 | 相夫恋といふ楽は |
215 | 平宣時朝臣 |
216 | 最明寺入道 |
217 | ある大福長者のいはく |
218 | 狐は人に食ひつくものなり |
219 | 四条黄門命ぜられていはく |
220 | 何事も辺土はいやしく【祇園精舎】 |
221 | 建治、弘安のころ |
222 | 竹谷乗願房 |
223 | 鶴の大臣殿は |
224 | 陰陽師有宗入道 |
225 | 多久資が申しけるは |
226 | 後鳥羽院の御時【平家物語】 |
227 | 六時礼讃は |
228 | 千本の釈迦念仏は |
229 | よき細工は |
230 | 五条内裏には、妖物ありけり |
231 | 園の別当入道は |
232 | すべて人は無智無能なるべきものなり |
233 | よろづの咎あらじと思はば |
234 | 人の物を問ひたるに |
235 | 主ある家には |
236 | 丹波に出雲といふ所あり |
237 | 柳筥に据うる物は |
238 | 御随身近友が自讃とて |
239 | 八月十五日、九月十三日は |
240 | しのぶの浦の蜑の見るめも |
241 | 望月のまどかなる事は |
242 | とこしなへに違順に使はるる事は |
243 | 八つになりし年 |