♪♀おなじ女(右近:百人一首38歌人、醍醐中宮穏子女房) しのびて通ひ給ふ人
おなじ女、 内の曹司にすみける時、しのびて通ひ給ふ人ありけり。 頭なりければ、殿上につねにありけり。
雨の降る夜、 曹司の蔀のつらに立ち寄り給へりけるも知らず、 雨のもりければ、むしろをひきかへすとて、
♪117 思ふ人 雨と降りくる ものならば わがもる床は かへさざらまし
となむうちいひければ、 あはれと聞きて、ふとはひ入り給ひにけり。