登場人物
♪♀季縄少将の娘右近(百人一首38歌人
醍醐中宮穏子女房)
故后の宮
故権中納言の君
内わたりの人
原文
季縄少将の娘右近、
故后の宮にさぶらひけるころ、
故権中納言の君おはしける、
頼め給ふことなどありけるを、
宮にまゐること絶えて、里にありけるに、
さらにとひ給はざりけり。
内わたりの人来たりけるに、
「いかにぞ。まゐり給ふや」と問ひければ、
「常にさぶらひ給ふ」といひければ、
御文奉りける。
♪115
忘れじと 頼めし人は ありと聞く
いひし言の葉 いづちいにけむ
となむありける。