♪おなじ人=かいせう(戒仙:後撰集)
かの父の兵衛の佐
♪まらうど=貫之・友則など(紀貫之、紀友則:共に古今集編纂者、三十六歌仙、百人一首35・33歌人)
おなじ人、
かの父の兵衛の佐、うせにける年の秋、
家にこれかれ集まりて、宵より酒飲みなどす。
いますからぬことのあはれなることを、まらうどもあるじも恋ひけり。
あさぼらけに霧たちわたりけり。
まらうど、
♪39
朝霧の なかに君ます ものならば
晴るるまにまに うれしからまし
といひけり。
かいせう、返し、
♪40
ことならば 晴れずもあらなむ 秋霧の
まぎれに見えぬ 君と思はむ
まらうどは、貫之、友則などになむありける。