目次 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
677 不知 |
678 不知 |
679 貫之 |
680 忠行 |
||||||
681 伊勢 |
682 不知 |
683 不知 |
684 友則 |
685 深養 |
686 躬恒 |
687 不知 |
688 不知 |
689 不知 |
690 不知 |
691 素性 |
692 不知 |
693 不知 |
694 不知 |
695 不知 |
696 不知 |
697 貫之 |
698 深養 |
699 不知 |
700 不知 |
701 不知 |
702 不知 |
703 不知 |
704 不知 |
705 業× |
706 不知 |
707 業× |
708 不知 |
709 不知 |
710 不知 |
711 不知 |
712 不知 |
713 不知 |
714 素性 |
715 友則 |
716 不知 |
717 不知 |
718 不知 |
719 不知 |
720 不知 |
721 不知 |
722 素性 |
723 不知 |
724 源融 |
725 不知 |
726 不知 |
727 小町 |
728 雄宗 |
729 貫之 |
730 不知 |
731 不知 |
732 不知 |
733 伊勢 |
734 貫之 |
735 黒主 |
736 因香 |
737 近院 |
738 因香 |
739 不知 |
740 閑院 |
741 伊勢 |
742 寵 |
743 人真 |
744 不知 |
745 興風 |
746 不知 |
||||
※不知が58.5%(41/70)。伊勢物語の歌は6つ(705-709、746)。 そして伊勢も要所に配置される。 伊勢の配置に意図があることは、伊勢を最後に置いた恋三でも同様。そしてここでの最後の配置もやはり伊勢の歌。 この当時から伊勢物語という呼称は確定していないと思うが、ここでの配置から貫之には伊勢を識別に用いる意識はあるだろう。 この点は著者命名を肯定する事情に傾くかもしれないが、いずれにせよ伊勢物語という呼称に固めたのは源氏物語と思う。そこでは直接言及している。そこからおしすすめて竹取物語などとなった、というのが一つの見方。 なお、伊勢が出典で、伊勢が古今を引用したのではない。これは確実(最終的に伊勢が成立したのは886年頃。その頃著者=文屋が死亡。古今は905年)。 根拠は、双方の記述年代から伊勢が先(800年代)であること、伊勢は業平を全ての登場段で否定していること(初出の63段以降全て)、古今の業平認定を伊勢読解の基礎にすると、相互の描写と全く整合がとれないこと(昔男の身はいやし)、そしてそれを一報的に伊勢の不備のせいにすること。しかし古今が先という根拠がない。どこかにあるはずの業平原歌集という想定がされること自体、出典が伊勢しかないという証拠。つまり伊勢が先で出典という不可避の結論から、意図的に目を背けている。 なぜかというと、それを受け入れると古今の業平認定と、それに基づいた全ての学説が根底から覆るからである。 しかしそれらの説が通らないことは、業平認定を前提にするため、業平死後の伊勢114段の歌だけ説明もないのに行平の歌と認定し、帝を仁和から深草に変えてしまい(これは最早捏造)、段を業平の描写がある前に移動させたりすることからも明らか。 その段で袖に歌を詠んだのはそこに刺繍があったからだとかいう、伊勢初段を完全に無視した後撰の詞書のセンスからもそう言える。 権威づけのように作者源順説が乱発されることもそう。竹取作者説がある時点で宇津保も落窪の作者であることもない。源氏で伊勢と並び称される竹取を、伊勢源氏の写本の大家である定家の百選から漏れた人が記せることなどない。それに本当に評判通りの実力があるなら選外にはしない。そうなっているのは思想が相容れないから。その一つが39段末尾の「至は順が祖父なり」という注記。つまり出たがり。無理にでも割り込んでくる。伊勢の世界観と根本的に相容れない。 |
0677 | |
---|---|
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
みちのくの あさかのぬまの 花かつみ かつ見る人に こひやわたらむ |
かな |
みちのくの あさかのぬまの はなかつみ かつみるひとに こひやわたらむ |
0678 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あひ見すは こひしきことも なからまし おとにそ人を きくへかりける |
かな |
あひみすは こひしきことも なからまし おとにそひとを きくへかりける |
0679 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
いそのかみ ふるのなか道 なかなかに 見すはこひしと 思はましやは |
かな |
いそのかみ ふるのなかみち なかなかに みすはこひしと おもはましやは |
0680 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | ふちはらのたたゆき(藤原忠行) |
原文 |
君てへは 見まれ見すまれ ふしのねの めつらしけなく もゆるわかこひ |
かな |
きみてへは みまれみすまれ ふしのねの めつらしけなく もゆるわかこひ |
0681 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
夢にたに 見ゆとは見えし あさなあさな わかおもかけに はつる身なれは |
かな |
ゆめにたに みゆとはみえし あさなあさな わかおもかけに はつるみなれは |
0682 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いしま行く 水の白浪 立帰り かくこそは見め あかすもあるかな |
かな |
いしまゆく みつのしらなみ たちかへり かくこそはみめ あかすもあるかな |
0683 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いせのあまの あさなゆふなに かつくてふ みるめに人を あくよしもかな |
かな |
いせのあまの あさなゆふなに かつくてふ みるめにひとを あくよしもかな |
0684 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
春霞 たなひく山の さくら花 見れともあかぬ 君にもあるかな |
かな |
はるかすみ たなひくやまの さくらはな みれともあかぬ きみにもあるかな |
0685 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | ふかやふ(清原深養父) |
原文 |
心をそ わりなき物と 思ひぬる 見るものからや こひしかるへき |
かな |
こころをそ わりなきものと おもひぬる みるものからや こひしかるへき |
0686 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 凡河内みつね(凡河内躬恒) |
原文 |
かれはてむ のちをはしらて 夏草の 深くも人の おもほゆるかな |
かな |
かれはてむ のちをはしらて なつくさの ふかくもひとの おもほゆるかな |
0687 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あすかかは ふちはせになる 世なりとも 思ひそめてむ 人はわすれし |
かな |
あすかかは ふちはせになる よなりとも おもひそめてむ ひとはわすれし |
0688 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
思ふてふ 事のはのみや 秋をへて 色もかはらぬ 物にはあるらむ |
かな |
おもふてふ ことのはのみや あきをへて いろもかはらぬ ものにはあるらむ |
0689 | |
詞書 | 題しらす/又は、うちのたまひめ |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
さむしろに 衣かたしき こよひもや 我をまつらむ うちのはしひめ |
かな |
さむしろに ころもかたしき こよひもや われをまつらむ うちのはしひめ |
0690 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
君やこむ 我やゆかむの いさよひに まきのいたとも ささすねにけり |
かな |
きみやこむ われやゆかむの いさよひに まきのいたとも ささすねにけり |
0691 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | そせいほうし(素性法師) |
原文 |
今こむと いひしはかりに 長月の ありあけの月を まちいてつるかな |
かな |
いまこむと いひしはかりに なかつきの ありあけのつきを まちいてつるかな |
コメ |
百人一首21。 いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいづるかな /今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな |
0692 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
月夜よし よよしと人に つけやらは こてふににたり またすしもあらす |
かな |
つきよよし よよしとひとに つけやらは こてふににたり またすしもあらす |
0693 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
君こすは ねやへもいらし こ紫 わかもとゆひに しもはおくとも |
かな |
きみこすは ねやへもいらし こむらさき わかもとゆひに しもはおくとも |
0694 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
宮木のの もとあらのこはき つゆをおもみ 風をまつこと きみをこそまて |
かな |
みやきのの もとあらのこはき つゆをおもみ かせをまつこと きみをこそまて |
0695 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あなこひし 今も見てしか 山かつの かきほにさける 山となてしこ |
かな |
あなこひし いまもみてしか やまかつの かきほにさける やまとなてしこ |
0696 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
つのくにの なにはおもはす 山しろの とはにあひ見む ことをのみこそ |
かな |
つのくにの なにはおもはす やましろの とはにあひみむ ことをのみこそ |
0697 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
しきしまや やまとにはあらぬ 唐衣 ころもへすして あふよしもかな |
かな |
しきしまや やまとにはあらぬ からころも ころもへすして あふよしもかな |
0698 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | ふかやふ(清原深養父) |
原文 |
こひしとは たかなつけけむ ことならむ しぬとそたたに いふへかりける |
かな |
こひしとは たかなつけけむ ことならむ しぬとそたたに いふへかりける |
0699 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
三吉野の おほかはのへの 藤波の なみにおもはは わかこひめやは |
かな |
みよしのの おほかはのへの ふちなみの なみにおもはは わかこひめやは |
0700 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かくこひむ 物とは我も 思ひにき 心のうらそ まさしかりける |
かな |
かくこひむ ものとはわれも おもひにき こころのうらそ まさしかりける |
0701 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あまのはら ふみととろかし なる神も 思ふなかをは さくるものかは |
かな |
あまのはら ふみととろかし なるかみも おもふなかをは さくるものかは |
0702 | |
詞書 | 題しらす/この歌は、ある人、あめのみかとのあふみのうねめにたまひけるとなむ申す |
作者 | よみ人しらす(一説、あめのみかと) |
原文 |
梓弓 ひきののつつら すゑつひに わか思ふ人に 事のしけけむ |
かな |
あつさゆみ ひきののつつら すゑつひに わかおもふひとに ことのしけけむ |
0703 | |
詞書 |
題しらす/この歌は、 返しによみてたてまつりけるとなむ |
作者 | よみ人しらす(一説、あふみのうねめ) |
原文 |
夏ひきの てひきのいとを くりかへし 事しけくとも たえむと思ふな |
かな |
なつひきの てひきのいとを くりかへし こしとけくとも たえむとおもふな |
0704 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
さと人の 事は夏のの しけくとも かれ行くきみに あはさらめやは |
かな |
さとひとの ことはなつのの しけくとも かれゆくきみに あはさらめやは |
0705 | |
詞書 |
藤原敏行朝臣の なりひらの朝臣(※問題あり)の 家なりける女を あひしりてふみつかはせりけることはに、 いままうてく、あめのふりけるを なむ見わつらひ侍るといへりけるをききて、 かの女にかはりてよめりける |
作者 | 在原業平朝臣(※問題あり) |
原文 |
かすかすに おもひおもはす とひかたみ 身をしる雨は ふりそまされる |
かな |
かすかすに おもひおもはす とひかたみ みをしるあめは ふりそまされる |
コメ |
出典:伊勢107段(身を知る雨)。 「例の男、女に代りてよみてやらす。 『かずかずに 思ひ思はず 問ひがたみ 身をしる雨は 降りぞまされる』 とよみてやれりければ、蓑も笠もとりあへで、しとゞに濡れてまどひきにけり。」 |
0706 | |
詞書 |
ある女の、 なりひらの朝臣(※問題あり)を ところさためすありきすとおもひて、 よみてつかはしける |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
おほぬさの ひくてあまたに なりぬれは おもへとえこそ たのまさりけれ |
かな |
おほぬさの ひくてあまたに なりぬれは おもへとえこそ たのまさりけれ |
コメ |
出典:伊勢47段(大幣)。 「むかし、男、 懇にいかでと思ふ女ありけり。 されど、この男をあだなりと聞きて、 つれなさのみまさりつゝいへる。 『大幣の ひく手あまたに なりぬれば 思へどこそ 頼まざりけれ』」 |
0707 | |
詞書 | 返し |
作者 | なりひらの朝臣(在原業平)(※問題あり) |
原文 |
おほぬさと 名にこそたてれ なかれても つひによるせは ありてふものを |
かな |
おほぬさと なにこそたてれ なかれても つひによるせは ありてふものを |
コメ |
出典:伊勢47段(大幣)。 「(上の歌に)返し、男、 『大幣と 名にこそたてれ 流れても つひによる瀬は ありといふものを』」 |
0708 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
すまのあまの しほやく煙 風をいたみ おもはぬ方に たなひきにけり |
かな |
すまのあまの しほやくけふり かせをいたみ おもはぬかたに たなひきにけり |
コメ |
出典:伊勢112段(須磨のあま)。 「むかし、男、ねむごろにいひ契れる女の、ことざまになりにければ、 『須磨のあま の塩焼く 煙風をいたみ 思はぬ方に たなびきにけり』」 |
0709 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
たまかつら はふ木あまたに なりぬれは たえぬ心の うれしけもなし |
かな |
たまかつら はふきあまたに なりぬれは たえぬこころの うれしけもなし |
コメ |
出典:伊勢118段(たえぬ心、玉葛)。 「むかし、男、久しく音もせで、 「わするゝ心もなし。まゐり来む」 といへりければ、 『玉葛 はふ木あまたに なりぬれば 絶えぬこころの うれしげもなし』」 |
0710 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
たかさとに 夜かれをしてか 郭公 たたここにしも ねたるこゑする |
かな |
たかさとに よかれをしてか ほとときす たたここにしも ねたるこゑする |
0711 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いて人は 事のみそよき 月草の うつし心は いろことにして |
かな |
いてひとは ことのみそよき つきくさの うつしこころは いろことにして |
0712 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いつはりの なき世なりせは いかはかり 人のことのは うれしからまし |
かな |
いつはりの なきよなりせは いかはかり ひとのことのは うれしからまし |
0713 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
いつはりと 思ふものから 今さらに たかまことをか 我はたのまむ |
かな |
いつはりと おもふものから いまさらに たかまことをか われはたのまむ |
0714 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 素性法師 |
原文 |
秋風に 山のこのはの うつろへは 人の心も いかかとそ思ふ |
かな |
あきかせに やまのこのはの うつろへは ひとのこころも いかかとそおもふ |
0715 | |
詞書 | 寛平御時きさいの宮の歌合のうた |
作者 | とものり(紀友則) |
原文 |
蝉のこゑ きけはかなしな 夏衣 うすくや人の ならむと思へは |
かな |
せみのこゑ きけはかなしな なつころも うすくやひとの ならむとおもへは |
0716 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
空蝉の 世の人ことの しけけれは わすれぬものの かれぬへらなり |
かな |
うつせみの よのひとことの しけけれは わすれぬものの かれぬへらなり |
0717 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
あかてこそ おもはむなかは はなれなめ そをたにのちの わすれかたみに |
かな |
あかてこそ おもはむなかは はなれなめ そをたにのちの わすれかたみに |
0718 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
忘れなむと 思ふ心の つくからに 有りしよりけに まつそこひしき |
かな |
わすれなむと おもふこころの つくからに ありしよりけに まつそこひしき |
0719 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
わすれなむ 我をうらむな 郭公 人の秋には あはむともせす |
かな |
わすれなむ われをうらむな ほとときす ひとのあきには あはむともせす |
0720 | |
詞書 |
題しらす/この歌、ある人のいはく、 なかとみのあつま人かうたなり |
作者 | よみ人しらす(一説、なかとみのあつま人) |
原文 |
たえすゆく あすかの河の よとみなは 心あるとや 人のおもはむ |
かな |
たえすゆく あすかのかはの よとみなは こころあるとや ひとのおもはむ |
0721 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
よと河の よとむと人は 見るらめと 流れてふかき 心あるものを |
かな |
よとかはの よとむとひとは みるらめと なかれてふかき こころあるものを |
0722 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | そせい法し(素性法師) |
原文 |
そこひなき ふちやはさわく 山河の あさきせにこそ あたなみはたて |
かな |
そこひなき ふちやはさわく やまかはの あさきせにこそ あたなみはたて |
0723 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
紅の はつ花そめの 色ふかく 思ひし心 我わすれめや |
かな |
くれなゐの はつはなそめの いろふかく おもひしこころ われわすれめや |
0724 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 河原左大臣(源融、みなもとのとおる) |
原文 |
みちのくの しのふもちすり たれゆゑに みたれむと思ふ 我ならなくに |
かな |
みちのくの しのふもちすり たれゆゑに みたれむとおもふ われならなくに |
コメ |
百人一首14。 みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに /陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに |
0725 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
おもふより いかにせよとか 秋風に なひくあさちの 色ことになる |
かな |
おもふより いかにせよとか あきかせに なひくあさちの いろことになる |
0726 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
千千の色に うつろふらめと しらなくに 心し秋の もみちならねは |
かな |
ちちのいろに うつろふらめと しらなくに こころしあきの もみちならねは |
0727 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 小野小町 |
原文 |
あまのすむ さとのしるへに あらなくに 怨みむとのみ 人のいふらむ |
かな |
あまのすむ さとのしるへに あらなくに うらみむとのみ ひとのいふらむ |
0728 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | しもつけのをむね |
原文 |
くもり日の 影としなれる 我なれは めにこそ見えね 身をははなれす |
かな |
くもりひの かけとしなれる われなれは めにこそみえね みをははなれす |
0729 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
色もなき 心を人に そめしより うつろはむとは おもほえなくに |
かな |
いろもなき こころをひとに そめしより うつろはむとは おもほえなくに |
0730 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
めつらしき 人を見むとや しかもせぬ わかしたひもの とけわたるらむ |
かな |
めつらしき ひとをみむとや しかもせぬ わかしたひもの とけわたるらむ |
0731 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
かけろふの それかあらぬか 春雨の ふる日となれは そてそぬれぬる |
かな |
かけろふの それかあらぬか はるさめの ふるひとなれは そてそぬれぬる |
0732 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
ほり江こく たななしを舟 こきかへり おなし人にや こひわたりなむ |
かな |
ほりえこく たななしをふね こきかへり おなしひとにや こひわたりなむ |
0733 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
わたつみと あれにしとこを 今更に はらははそてや あわとうきなむ |
かな |
わたつみと あれにしとこを いまさらに はらははそてや あわとうきなむ |
0734 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | つらゆき(紀貫之) |
原文 |
いにしへに 猶立帰る 心かな こひしきことに 物わすれせて |
かな |
いにしへに なほたちかへる こころかな こひしきことに ものわすれせて |
0735 | |
詞書 |
人をしのひにあひしりて あひかたくありけれは、 その家のあたりをまかりありきけるをりに、 かりのなくをききてよみてつかはしける |
作者 | 大伴くろぬし(大伴黒主) |
原文 |
思ひいてて こひしき時は はつかりの なきてわたると 人しるらめや |
かな |
おもひいてて こひしきときは はつかりの なきてわたると ひとしるらめや |
0736 | |
詞書 |
右のおほいまうちきみすますなりにけれは、 かのむかしおこせたりけるふみともを とりあつめて返すとてよみておくりける |
作者 | 典侍藤原よるかの朝臣(藤原因香) |
原文 |
たのめこし 事のは今は かへしてむ わか身ふるれは おきところなし |
かな |
たのめこし ことのはいまは かへしてむ わかみふるれは おきところなし |
0737 | |
詞書 | 返し |
作者 | 近院の右のおほいまうちきみ |
原文 |
今はとて かへす事のは ひろひおきて おのかものから かたみとや見む |
かな |
いまはとて かへすことのは ひろひおきて おのかものから かたみとやみむ |
0738 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よるかの朝臣(藤原因香) |
原文 |
たまほこの 追はつねにも まとはなむ 人をとふとも 我かとおもはむ |
かな |
たまほこの みちはつねにも まとはなむ ひとをとふとも われかとおもはむ |
0739 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす |
原文 |
まてといはは ねてもゆかなむ しひて行く こまのあしをれ まへのたなはし |
かな |
まてといはは ねてもゆかなむ しひてゆく こまのあしをれ まへのたなはし |
0740 | |
詞書 | 中納音源ののほるの朝臣の あふみのすけに侍りける時、よみてやれりける |
作者 | 閑院 |
原文 |
相坂の ゆふつけ鳥に あらはこそ 君かゆききを なくなくも見め |
かな |
あふさかの ゆふつけとりに あらはこそ きみかゆききを なくなくもみめ |
0741 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 伊勢(伊勢の御) |
原文 |
ふるさとに あらぬものから わかために 人の心の あれて見ゆらむ |
かな |
ふるさとに あらぬものから わかために ひとのこころの あれてみゆらむ |
0742 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 寵(※うつく、と読み、源精の娘ともされるが、詳細不明) |
原文 |
山かつの かきほにはへる あをつつら 人はくれとも ことつてもなし |
かな |
やまかつの かきほにはへる あをつつら ひとはくれとも ことつてもなし |
0743 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | さかゐのひとさね(酒井人真) |
原文 |
おほそらは こひしき人の かたみかは 物思ふことに なかめらるらむ |
かな |
おほそらは こひしきひとの かたみかは ものおもふことに なかめらるらむ |
0744 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | 読人しらす(よみ人しらす) |
原文 |
あふまての かたみも我は なにせむに 見ても心の なくさまなくに |
かな |
あふまての かたみもわれは なにせむに みてもこころの なくさまなくに |
0745 | |
詞書 |
おやのまもりける人のむすめに いとしのひにあひて ものらいひけるあひたに、 おやのよふといひけれはいそきかへるとて、もをなむぬきおきていりにける、 そののち、もをかへすとてよめる |
作者 | おきかせ(藤原興風) |
原文 |
あふまての かたみとてこそ ととめけめ 涙に浮ふ もくつなりけり |
かな |
あふまての かたみとてこそ ととめけめ なみたにうかふ もくつなりけり |
0746 | |
詞書 | 題しらす |
作者 | よみ人しらす(※) |
原文 |
かたみこそ 今はあたなれ これなくは わするる時も あらましものを |
かな |
かたみこそ いまはあたなれ これなくは わするるときも あらましものを |
コメ |
出典:伊勢119段(形見こそ)。 「むかし、女、あだなる男のかたみとて、 置きたるものどもを見て、 『かたみこそ 今はあだなく これなくは 忘れるゝ時も あらまほしきものを』」 |