古今和歌集は、905年成立の初の国家的かな和歌集(巻7先頭に君が代原歌)。醍醐天皇(延喜帝)の命による。
撰者は5人いるが、仮名序を記した紀貫之が35歳前後ながら支配的影響を及ぼした。
ここで引用した古今集は、日文研データベースに基づいている(本は明示されていない)。
目次 | |||||||||
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・概要 20巻構成は万葉にならい、恋を最大配分で独立させた→伊勢の影響 伊勢物語の歌の貴族目線での業平みなし認定に、貫之のみ対抗した。 それが以下の歌の配置と詞書と、六歌仙評の意義。 |
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・詞書分析 伊勢物語の圧倒的影響 詞書上位10中6、20中10が伊勢 詞書で突出1位が筒井筒の無名女の歌 2位仲麻呂 3位東下り 上記20首中10首は、筒井筒の女以外、全て業平認定された歌 この20首の内、他に複数入選者は遍照の2首・10位16位だけ つまり勅撰集で、貫之が最も重んじたのは伊勢の無名の田舎の歌。 有名貴族や業平ではない。それを否定したのが筒井筒で六歌仙評。 かつ業平は東(三河)に下った記録はないとされている。 +文屋と小町の一体性(小町は文屋の歌手。有意に詞書が少ない) 文屋に伊勢の昔男の多角的証拠を用意した(二条の后・三河行き) 伊勢に関する長大な詞書は左注とする説もあるが、厳然と右にある。 右でも左というのは、古今が本で伊勢が末としたいのだと思われる。 しかし仲麻呂の長大な説明は左注だがそれで被参照性は揺らがない。 仮に左注の仲麻呂を除外すると、上位10首中7首が伊勢の歌になる。 そして筒井筒以外は全て業平認定で、都合のいい寄せ集めではない つまり突出した昔男の物語。それが在五日記と貶められ利用された そうでもしないと貴族社会の面子が保てない。それが六歌仙概念。 |
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・仮名序 古事記・難波津の歌・人麻呂と赤人・六歌仙 対の配置 はなのいろなくてにほひのこれる→いろはにほへどの暗示 業平のにほひ残れる、直後の文屋の身におはず→身に匂わせない 身に負わずは誤り。対の解釈(古の歌の心)を試すひっかけ問題 小町→古の衣通姫のりう(光を放つ古事記の姫)=竹取のかぐや 貫之はそう見た。 小町針という男を拒絶する話からも、竹取の著者は同じ縫殿の文屋 六歌仙評は読者を試す試験紙。全否定は出題を完全にナメている。 上記と下の配置を総合すると、伊勢竹取いろはの作者は文屋である。 いろは歌は言葉巧みの極致だから、いまだに他に並ぶものがない。 |
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・全巻一覧 文屋・小町・敏行のみ巻先頭連続(秋下・恋二・物名)、 業平を恋三で敏行(義弟)により連続を崩す。 この人選と分野選定に意味を見れないのは、和歌の完全素人。 古今先頭元方(業平孫)=業平を意図的に斥けた。立ててはいない。 全く役不足な中将の孫がなぜか先頭にいる構図。これが 源氏物語の主人公のライバル頭中将の孫の薫が拒絶されて終わる構図。 元方は棟梁の子。この棟梁が柏木(薫の父)。柏木は棟の梁の素材。 主人公の子の夕霧は朝康。朝夕は絶対の対。 |
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(上巻) | |||||||||
・巻一 春歌上 文屋8。業平53・63=伊勢63段在五 末尾伊勢の御 | |||||||||
・巻二 春歌下 | |||||||||
・巻三 夏歌 | |||||||||
・巻四 秋歌上 四季最大(和歌伝統の象徴) | |||||||||
・巻五 秋歌下 文屋先頭連続(つまり別格)秋の人=六歌仙評 | |||||||||
・巻六 冬歌 | |||||||||
・巻七 賀歌 | |||||||||
・巻八 離別歌 | |||||||||
・巻九 羈旅歌(きりょ) | |||||||||
・巻十 物名(もののな) 敏行先頭連続 | |||||||||
(下巻) | |||||||||
・巻十一 恋歌一 古今最大かつ圧倒的不知(85.5%)=万葉・伊勢 | |||||||||
・巻十二 恋歌二 小町先頭三連続。三連続は小町のみ=立てている | |||||||||
・巻十三 恋歌三 業平・敏行・業平として先頭を崩す 末尾伊勢の御 | |||||||||
・巻十四 恋歌四 | |||||||||
・巻十五 恋歌五 全体二番目の分量:先頭は伊勢4段・西の対 | |||||||||
・巻十六 哀傷歌 | |||||||||
・巻十七 雑歌上(くさぐさの歌。万葉一巻分類の理論的配置) | |||||||||
・巻十八 雑歌下 筒井筒が突出した詞書最長 最後1000番・伊勢の御 小町の歌の文屋の三河行きの詞書(938)は貫之による証拠固め |
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・巻十九 雑体(ざったい) | |||||||||
・巻二十 大歌所御歌 末尾(1100)は敏行 | |||||||||
・墨滅歌 1111首中11首。最後は貫之 | |||||||||
・真名序 | |||||||||
※以上は定家本の構成で、上下は古い写本の区分。 |
「巻末の「墨滅歌」とは定家本のみにあるもので、藤原定家が「家々称証本之本乍書入墨滅哥 今別書之」(家々で『古今和歌集』の証本〈拠るべき重要な伝本〉とする本に記していながら、墨で印をして本来無いものとしている和歌があり、今それらを別にまとめて書き記す)と前置きしてまとめた11首の和歌のことである」(Wikipedia古今和歌集より)
仮名序で「すべて千うたはたまき(二十巻)、なづけて古今和歌集といふ」とあるが、1000首は18巻まで、20巻だと1100首(定家本では1111首)。この点は考える必要があるだろう。18巻が1000で区切れるのは偶然とは見れない。他に端数でないのは1100首の20巻しかないため。18巻末尾は伊勢の御。20巻末尾は敏行。
古今で貫之が他と同列ではなく(歌の量ではなく)特別扱いした人物がいる。文屋・小町・敏行・伊勢の御・二条の后。二条の后は歌人ではないが、伊勢物語のアイコンとして用いられた。業平は当時から一般に特別扱いされたが、貫之は業平を重視してはいない。
文屋・小町・敏行のみ巻先頭連続(秋下・恋二・物名)、業平を恋三で敏行(義弟)により連続を崩す。この人選と分野選定に意味を見れないのは、和歌の完全素人。だから歌仙評の対の言葉も見れない。こまぎれの文章としか見れない。つまり歌の心を知らない。
貫之が最も重視したのは文屋。古今最初の厚い詞書が文屋8。貫之9で下を固めるがごとく。53・63の業平は伊勢63段の在五。いずれもその名に掛けて。二条の后完全オリジナルの詞書を持つのは文屋のみ。そういうことに力を注いだ。