原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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論語と千字文(文化の渡来) |
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又科賜。 百濟國。 若有賢人者貢上。 |
また百濟の國に仰せたまひて、 「もし賢さかし人あらば貢れ」 とのりたまひき。 |
また百濟の國に、 もし賢人があれば貢れと 仰せられましたから、 |
故受命以貢上人。 | かれ命を受けて貢れる人、 | 命を受けて貢つた人は |
名和邇吉師。 | 名は和邇吉師わにきし、 | ワニキシといい、 |
即論語十卷。 | すなはち論語十卷とまき、 | 論語十卷・ |
千字文一卷。 | 千字文一卷、 | 千字文じもん一卷、 |
并十一卷。 | 并はせて十一卷とをまりひとまきを、 | 合わせて十一卷を |
付是人即貢進。 | この人に付けて貢りき。 | この人に付けて貢りました。 |
〈此和邇吉師者。 文首等祖〉 |
この和爾吉師は 文の首等が祖なり。 |
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技術の渡来 |
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又貢上。手人 韓鍛。名卓素。 亦呉服西素 二人也。 |
また手人 韓鍛からかぬち名は卓素たくそ、 また呉服くれはとり西素さいそ 二人を貢りき。 |
また工人の 鍛冶屋かじや卓素たくそという者、 また機はたを織る西素さいその 二人をも貢りました。 |
又秦造之祖。 | また秦はたの造みやつこの祖、 | 秦はたの造みやつこ、 |
漢直之祖。 | 漢あやの直あたへの祖、 | 漢あやの直あたえの祖先、 |
及知釀酒人。 名仁番。 亦名須須許理等。 |
また酒みきを釀かむことを知れる人、 名は仁番にほ、 またの名は須須許理すすこり等、 |
それから酒を造ることを知しつている ニホ、 またの名なをススコリという者等も |
參渡來也。 | まゐ渡り來つ。 | 渡つて參りました。 |