原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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亦其神詔。 | またその神詔りたまはく、 | またその神が仰せられるには |
明日之旦。 | 「明日あすの旦あした | 「明日の朝、 |
應幸於濱。 | 濱にいでますべし。 | 濱においでになるがよい。 |
獻易名之幣。 |
易名なかへの幣みやじり獻らむ」 とのりたまふ。 |
名をかえた贈物を獻上致しましよう」 と仰せられました。 |
故其旦。 | かれその旦 | 依つて翌朝 |
幸行于濱之時。 | 濱にいでます時に、 | 濱においでになつた時に、 |
毀鼻入鹿魚。 | 鼻毀やぶれたる入鹿魚いるか、 | 鼻の毀やぶれたイルカが |
既依一浦。 | 既に一浦に依れり。 | 或る浦に寄つておりました。 |
於是御子。 | ここに御子、 | そこで御子が |
令白于神云。 | 神に白さしめたまはく、 | 神に申されますには、 |
於我給御食之魚。 |
「我に御食みけの魚な給へり」 とまをしたまひき。 |
「わたくしに御食膳の魚を下さいました」 と申さしめました。 |
故亦稱其御名。 | かれまたその御名をたたへて | それでこの神の御名を稱えて |
號御食津大神。 | 御食津みけつ大神とまをす。 | 御食みけつ大神と申し上げます。 |
故於今。 | かれ今に | その神は今でも |
謂氣比大神也。 | 氣比けひの大神とまをす。 | 氣比の大神と申し上げます。 |
亦其入鹿魚之鼻 血臰。 |
またその入鹿魚いるかの鼻の 血臭くさかりき。 |
またそのイルカの鼻の 血が臭うございました。 |
故號其浦謂血浦。 | かれその浦に名づけて血浦といふ。 | それでその浦を血浦ちうらと言いましたが、 |
今謂都奴賀也。 | 今は都奴賀つぬがといふなり。 | 今では敦賀つるがと言います。 |