原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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宮(近淡海之志賀高穴穂宮) |
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若帶日子天皇。 |
若帶日子 わかたらしひこの天皇、 |
ワカタラシ彦の天皇 (成務天皇)、 |
坐 近淡海之 志賀 高穴穂宮。 |
近つ淡海あふみの 志賀しがの 高穴穗ほの宮に ましまして、 |
近江の國の 志賀しがの 高穴穗の宮に おいでになつて |
治天下也。 | 天の下治らしめしき。 | 天下をお治めなさいました。 |
后妃・皇子女 |
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此天皇。 娶 穂積臣等之祖。 建忍山垂根之女。 名弟財郎女。 |
この天皇、 穗積ほづみの臣等の祖、 建忍山垂根 たけおしやまたりねが女、 名は弟財おとたからの 郎女いらつめに 娶ひて、 |
この天皇は 穗積ほづみの臣の祖先、 タケオシヤマタリネの女の オトタカラの 郎女いらつめと 結婚して |
生御子 和訶奴氣王。 〈一柱〉 |
生みませる御子 和訶奴氣 わかぬけの王。 |
お生みになつた御子は ワカヌケの王 お一方です。 |
故建内宿禰 爲大臣。 |
かれ建内の宿禰を 大臣おほおみとして、 |
そこでタケシウチの宿禰を 大臣となされ、 |
定賜大國。 小國之國造。 亦定賜。 |
大國小國の 國の造を 定めたまひ、 |
大小國々の 國の造を お定めになり、 |
國國之堺。 | また國國の堺、 | また國々の堺、 |
及大縣。小縣之 縣主也。 |
また大縣小縣の 縣主を定めたまひき。 |
また大小の縣の 縣主あがたぬしをお定めになりました。 |
陵(沙紀之多他那美) |
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天皇。 御年。玖拾伍歳。 |
天皇、 御年九十五歳 ここのそぢまりいつつ |
天皇は 御年九十五歳、 |
(乙卯の年三月十五日 崩りたまひき) |
乙卯の年の三月十五日に お隱れになりました。 |
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御陵在 沙紀之 多他那美也。 |
御陵は、 沙紀さきの 多他那美たたなみにあり。 |
御陵は 沙紀さきの 多他那美たたなみにあります。 |